待っているこの星は。

文字数 625文字

中学生の時、家にある星の図鑑を読んで、星について興味を持った。

仲良くなったクラスメイトが天体望遠鏡を持っていると聞いて、羨ましくなった。そのクラスメイトの家に泊まらせて貰って、星を見た。

「この望遠鏡、お前のご両親ーーどっちか分かんないんだけど、どっちかから貰ったんだって……。ごめん、お前が持ってたら良かったのに……。」

ーー俺の両親は死んでいる。でも俺は悲しくない。寂しくはあるけど……。小さい時というか、今じゃ記憶も曖昧になる様な頃に亡くなったから。

周りは何故か俺の両親の肩身を持っていた。でも、当たり前だった。俺の同級生や親戚や家族は、俺の両親の家族や親戚や同級生の子供達で、つまりは両親の繋がりの中に俺がいる。

“寂しくなったら、星を見上げてーーごらん? ほら、瞬いているだろう? あのひとつひとつがーー”

俺の親戚で俺の家族ーー……。そう教えてくれたのは、俺の両親じゃなくて、ーーその人も両親の友達とかだった。

“だけど、似ているかもしれないね? 僕は君の両親の片方、あの子と双子だから。”

そうだ、双子だーー……。

あの双子座とかいう星になっているのか? なんて、双子座が出来たのはもっと大昔ーー発見されたのだって。だから違う。ーーでも、見つけたい。

二人がこの空の何処に居るのか。どこで輝いているのかーー……。

“じゃあ、君は僕たちを探して、ーー探し出してみてごらん? ”

瞬く星ーーこの丘の上一面に広がる夜空のどこかから、あの人の声が聞こえた気がした。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み