【3日目】悪夢

文字数 583文字

・・・3日目・・・

真斗は、夢を見ていた。



熱海だったと思う。

暗い夜空の中、黒いジャケットと黒スラックスを着て、真斗は熱海の海岸を歩いていた。

真斗はスマートフォンで本部と交信する。

本部から、そのまま海沿いをまっすぐ進めとの命令。

しばらく進んだ。そして、ターゲットまであと100mと告げられた。

すると、小さい人影が見えた。

おそらくあれがターゲット。

真斗はベルトから銃を出して構え、そのまま小さい人影に向かって歩みを進めた。

ピーっと、所有していたスマートフォンがバイブレーションと共に電子音を発した。

【壊れはじめた者】を検証し、発見した際に知らせるスマートフォンアプリ。

ターゲットは【壊れはじめた者】であることは間違い無い。

恐ろしく冷徹に、真斗は銃口をターゲットに向ける。

と、同時に、その電子音に驚いたターゲットが、真斗の方向を向いた。

小さな人影が、首を傾げ真斗を見つめた。

見覚えのある、年齢の割に幼くみえる女性の顔が、最期に怪訝な表情をした。

「・・・お兄ちゃん?」

妹の明日香がこの海辺にいることは、あり得ないはずだった。

「今日は何か、すごく調子が良いんだ。身体がとても元気になって」

真斗は構えた銃の引き金を引いた。

パァンッと甲高い銃声がして、弾丸がターゲットの額に突き刺さった。

ターゲットの額から鮮血が飛び散った。



「・・・!」

毎晩観る悪夢の恐怖で、真斗は目を覚ました。
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