【6日目】デート
文字数 2,156文字
「奈央おおぉぉぉ!!」
叫び声と共に真斗が起き上がった。
「ひゃっ!
な・・・なに?」
朝ごはんの味噌汁を温めている奈央がびっくりして返事をした。
真斗が気がつくと、いつもの奈央の部屋。
(なんだ、夢か・・・)
真斗が毛布から起き上がって、安堵の溜息を着くと、時計を見た。
8時13分。
少し、寝過ぎたか?
「だ、大丈夫かな?朝ごはんにしよ?」
そう言って奈央がご飯、味噌汁、漬物、サバの塩焼きをトレーに乗せて持ってきた。
真斗は毛布を片付けた。
※
「ねぇ、真斗くん、今日の一日のプランなんだけど」
「うん?プラン?」
「うん、今日はまず、デパートでショッピングしたいな!
それから、デパートの中に映画館あるから、そこで見たい映画あるの。
あとね、この辺りに知り合いがやってるカフェがあって、そこ行くの。
それで、その後、ちょっと遠出して、沼津の方にあるマリンパーク行きたい!
夕食はそのまま沼津のレストランでちょっと高級な所!
オッケー?はい、復唱!」
口早く奈央が今日の予定を真斗に捲し立てた。
「な・・・なんか、もりもりの予定だな」
「復唱!」
「分かった分かった。
買い物、映画、カフェで、そのあと沼津の水族館とレストランだろ?」
「はい、オッケー!じゃあ、準備開始!!」
そう言って奈央はメイクを始めた。
真斗には、特に準備することも無く、相変わらず時間のかかる奈央の準備を待った。
※
二人はマンションから最も近い場所に建つ大型デパートに行った。
奈央は女性用ファッションフロアに行き、気に入ったワンピースを試着した。
「まあ!
とても良いですね、お客様。こちらとてもお似合いですよ?」
アパレルショップ店員の女性が奈央を褒める。
「じゃあ、これ下さい。あと、このまま着ていくので、タグとか全部外しちゃってください!」
「はい、承知しました」
奈央はカード払いで身につけたワンピースでそのまま店から出てきた。
「そのまま着ていくの?」
「うん、真斗くんもだよ?」
「・・・は?」
※
今度は奈央は、真斗を男性用ファションフロアに連れて行った。
「俺は、こうゆうのは、着たことないから、いいよ、このままの格好で」
「んー、こっちの方がいいかな?
これ試着しみて!」
奈央は真斗の要望も聞かず、上下フルセットで仕立てた。
そして、カード払いで、仕立てたままの格好でタグを外した。
「うん、真斗くん、背高いし、筋肉あるし、スラッとしてるから、ちゃんとしたの着たら、やっぱかっこいいじゃない」
「そうか?なんか動きにくいぜ、これ」
そして、これまで着ていた洋服は一旦デパートのロッカーに入れた。
「さ、早く行きましょ!映画始まっちゃう!」
奈央は真斗の手を掴んで最上階の映画館に行った。
※
奈央が選んだのは今話題の実写版ディズニー映画だった。
真斗は、過去に映画館に入ったのは10年以上前だったが、ストーリーも面白く、どういう展開が来るかでドキドキハラハラした。
※
映画館を出ると、デパートも出て、近くのカフェに行った。
「こんにちわ、鳥居奈央さん、男性のお友達を連れて来るなんて、珍しいですね」
40過ぎの人の良さそうなカフェの店長がにこやかに挨拶した。
「お久しぶりです、土屋さん。なかなか来れてなくてすみません」
「いえいえ、どうぞごゆっくり」
そう言ってメニューをテーブルに置いた。
奈央はダージリンティーと、新作のフルーツパフェを二つ注文した。
「どう?」
「え?」
「美味しいでしょ?」
「ああ、うまいな。だけど、でも俺は奈央のスイートポテトの方が好きだけどな」
本心だった。
「いやあ、たしかに!こりゃ一本取られましたな!」
そう言って二人の話を聞いていた土屋という店長が笑った。
奈央も笑っていた。
※
カフェを出るとき、奈央が二人分の会計を済ませて店を出た。真斗だけが、土屋に呼び止められた。
「あ、何か?」
真斗は土屋に言う。
土屋はこっそりとショコラケーキを箱に包み、袋に入れると、真斗に手渡した。
「サービスですよ、お代は頂きません」
「え?俺、こういうのは別にあまり食べないですけど」
「そうじゃなくて!」
土屋が、カフェの外で真斗を待つ奈央を見た。
「ああ、そういうこと・・・」
「彼女の大好物なんです。頑張って下さい。応援してますよ!」
と言って真斗をカフェから出した。
※
カフェを出て、しばらく歩き、途中で真斗は奈央にショコラケーキをプレゼントした。
奈央はにっこりと微笑んだ。
※
駅に向かう。
真斗は改札で、路線図を見ながら沼津駅への行き方を必死に調べた。
奈央から渡された小銭で切符を買って、改札口を通ろうとした。
だが、奈央がやや暗い顔でまごついていた。
「ん?どうした?
次は沼津に行ってマリンパークでしょ?」
「えっとね、予定変更!一旦家に帰ります!」
「ん?沼津行かないのか?切符買っちゃったけど」
「うん・・・ちょっと・・・」
真斗はその真意を図りかねたが、奈央の言う通り、家に帰ることにした。
「たまにはタクシー使おう?荷物多いし」
そう言って、奈央は近場のタクシーを停めて、二人は乗り込んだ。
※
タクシーが奈央の住むマンションを目指して走り出した。
「本当に帰るけど、良いんだよね?」
「うん・・・」
外出を途中で断念し、マリンパークとレストランに行かなかったこと、真斗はちょっとだけ残念に思った。
10分程度で、タクシーは奈央のマンションの前に降り立った。
叫び声と共に真斗が起き上がった。
「ひゃっ!
な・・・なに?」
朝ごはんの味噌汁を温めている奈央がびっくりして返事をした。
真斗が気がつくと、いつもの奈央の部屋。
(なんだ、夢か・・・)
真斗が毛布から起き上がって、安堵の溜息を着くと、時計を見た。
8時13分。
少し、寝過ぎたか?
「だ、大丈夫かな?朝ごはんにしよ?」
そう言って奈央がご飯、味噌汁、漬物、サバの塩焼きをトレーに乗せて持ってきた。
真斗は毛布を片付けた。
※
「ねぇ、真斗くん、今日の一日のプランなんだけど」
「うん?プラン?」
「うん、今日はまず、デパートでショッピングしたいな!
それから、デパートの中に映画館あるから、そこで見たい映画あるの。
あとね、この辺りに知り合いがやってるカフェがあって、そこ行くの。
それで、その後、ちょっと遠出して、沼津の方にあるマリンパーク行きたい!
夕食はそのまま沼津のレストランでちょっと高級な所!
オッケー?はい、復唱!」
口早く奈央が今日の予定を真斗に捲し立てた。
「な・・・なんか、もりもりの予定だな」
「復唱!」
「分かった分かった。
買い物、映画、カフェで、そのあと沼津の水族館とレストランだろ?」
「はい、オッケー!じゃあ、準備開始!!」
そう言って奈央はメイクを始めた。
真斗には、特に準備することも無く、相変わらず時間のかかる奈央の準備を待った。
※
二人はマンションから最も近い場所に建つ大型デパートに行った。
奈央は女性用ファッションフロアに行き、気に入ったワンピースを試着した。
「まあ!
とても良いですね、お客様。こちらとてもお似合いですよ?」
アパレルショップ店員の女性が奈央を褒める。
「じゃあ、これ下さい。あと、このまま着ていくので、タグとか全部外しちゃってください!」
「はい、承知しました」
奈央はカード払いで身につけたワンピースでそのまま店から出てきた。
「そのまま着ていくの?」
「うん、真斗くんもだよ?」
「・・・は?」
※
今度は奈央は、真斗を男性用ファションフロアに連れて行った。
「俺は、こうゆうのは、着たことないから、いいよ、このままの格好で」
「んー、こっちの方がいいかな?
これ試着しみて!」
奈央は真斗の要望も聞かず、上下フルセットで仕立てた。
そして、カード払いで、仕立てたままの格好でタグを外した。
「うん、真斗くん、背高いし、筋肉あるし、スラッとしてるから、ちゃんとしたの着たら、やっぱかっこいいじゃない」
「そうか?なんか動きにくいぜ、これ」
そして、これまで着ていた洋服は一旦デパートのロッカーに入れた。
「さ、早く行きましょ!映画始まっちゃう!」
奈央は真斗の手を掴んで最上階の映画館に行った。
※
奈央が選んだのは今話題の実写版ディズニー映画だった。
真斗は、過去に映画館に入ったのは10年以上前だったが、ストーリーも面白く、どういう展開が来るかでドキドキハラハラした。
※
映画館を出ると、デパートも出て、近くのカフェに行った。
「こんにちわ、鳥居奈央さん、男性のお友達を連れて来るなんて、珍しいですね」
40過ぎの人の良さそうなカフェの店長がにこやかに挨拶した。
「お久しぶりです、土屋さん。なかなか来れてなくてすみません」
「いえいえ、どうぞごゆっくり」
そう言ってメニューをテーブルに置いた。
奈央はダージリンティーと、新作のフルーツパフェを二つ注文した。
「どう?」
「え?」
「美味しいでしょ?」
「ああ、うまいな。だけど、でも俺は奈央のスイートポテトの方が好きだけどな」
本心だった。
「いやあ、たしかに!こりゃ一本取られましたな!」
そう言って二人の話を聞いていた土屋という店長が笑った。
奈央も笑っていた。
※
カフェを出るとき、奈央が二人分の会計を済ませて店を出た。真斗だけが、土屋に呼び止められた。
「あ、何か?」
真斗は土屋に言う。
土屋はこっそりとショコラケーキを箱に包み、袋に入れると、真斗に手渡した。
「サービスですよ、お代は頂きません」
「え?俺、こういうのは別にあまり食べないですけど」
「そうじゃなくて!」
土屋が、カフェの外で真斗を待つ奈央を見た。
「ああ、そういうこと・・・」
「彼女の大好物なんです。頑張って下さい。応援してますよ!」
と言って真斗をカフェから出した。
※
カフェを出て、しばらく歩き、途中で真斗は奈央にショコラケーキをプレゼントした。
奈央はにっこりと微笑んだ。
※
駅に向かう。
真斗は改札で、路線図を見ながら沼津駅への行き方を必死に調べた。
奈央から渡された小銭で切符を買って、改札口を通ろうとした。
だが、奈央がやや暗い顔でまごついていた。
「ん?どうした?
次は沼津に行ってマリンパークでしょ?」
「えっとね、予定変更!一旦家に帰ります!」
「ん?沼津行かないのか?切符買っちゃったけど」
「うん・・・ちょっと・・・」
真斗はその真意を図りかねたが、奈央の言う通り、家に帰ることにした。
「たまにはタクシー使おう?荷物多いし」
そう言って、奈央は近場のタクシーを停めて、二人は乗り込んだ。
※
タクシーが奈央の住むマンションを目指して走り出した。
「本当に帰るけど、良いんだよね?」
「うん・・・」
外出を途中で断念し、マリンパークとレストランに行かなかったこと、真斗はちょっとだけ残念に思った。
10分程度で、タクシーは奈央のマンションの前に降り立った。