第1話 旅に出でる 5

文字数 1,073文字

(てん)にはたくさんの種類(しゅるい)のしょく(にん)がいてね。
かれらはにじを、かける(そら)にできるだけ()うようにして(つく)るんだ。
けれど(まった)くもってぴったりのサイズには、どうしてもできないらしい。
だからにじをかけるために(てん)からつかわされたにじしょく(にん)は、(そら)ににじをかけた(とき)、もしそれが(みじか)すぎればのばすし、(おお)きすぎたらおのやのこぎりで()ったり、やすりでけずったりする。
そうして、それぞれの(そら)にぴったりの(かたち)になるよう、にじを調節(ちょうせつ)して(そら)にかけるんだよ。
ほら、たまに(いろ)がうすかったり、みょうに(ほそ)いにじを()たことがあるだろう? あれはにじの(なが)さが()りなくて、にじしょく(にん)地上(ちじょう)でのばした(もの)なんだよ」

 リリスはたまごのサンドウィッチをかた()に、コーヒーをむちゅうで()みながら()いました。
そして((かえ)ったら、すぐにねむらなくちゃ。ママ達が起きだす前に。
でも、こんなにコーヒーを()んだら、きっともうねむれっこないだろうな)と、わくわくと(おも)いました。

リリスは(はなし)(つづ)けます。
「そして今朝(けさ)、そのにじしょく(にん)(もり)のおくでにじをかけた。
でもそのにじが(おお)きすぎたから、(すこ)しはしっこをけずったんだ。
そしてその(こな)を、(うん)よくシャロルが()()れて、自分(じぶん)のほうせき(てん)午後(ごご)から()()した。
それを、パーティ(がえ)りで(ひる)まで出歩(である)いていたお(かあ)さんが、(すこ)()ったんだよ。
大人(おとな)魔女(まじょ)だけ昼間(ひるま)出歩(である)いていいなんて、ぜったいに不公平(ふこうへい)だよ」

 リリスはふくれっ(つら)になりました。

「お(かあ)さんが(うち)(かえ)って()(とき)、わたしはベッドの(なか)()()めてね。
(かあ)さんがお(とう)さんにその(はなし)をしているのを()いたんだ。
そして二人(ふたり)がねむるのを()って、ビンをこっそりここへ()って()たってわけ」

 ところが(はなし)のとちゅうでシャロルの名前(なまえ)()()たとたんに、ミルクは(はな)にしわをよせて、あからさまにいやな(かお)をしました。

シャロルとは(うつく)しいシャムネコで、(もり)反対側(はんたいがわ)にミルクと(おな)じような、こう(すい)やジュエリーを()大変大(たいへんおお)きな(みせ)()っていました。
がんらいネコと()うものはみんなそうですが、シャロルは(とく)にわがままでした。
その(うえ)うぬぼれが(つよ)くて、ミルクの(ちい)さな(みせ)をライバルししていました。
だから(なに)かと、ミルクやイヴにいじわるをしてくるのです。


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次回の掲載は2024年5月2日です。
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