第1話 旅に出でる 7

文字数 904文字

「そんなことできないわ。ぜったいに。
ライバル(てん)()(もの)をするなんて。
(あと)で、シャロルはわたし(たち)(わら)いものにするにちがいないもの」

「そうね。それにわたし(たち)には、そんなこうかな(もの)()うよゆうはないもの。
どう(かんが)えても無理(むり)よ」

 イヴがミルクの意見(いけん)にさんせいしました。

「……でも、じゃあ、どうするの」

 ポチが小声(こごえ)でこう()くと、一同(いちどう)はシーンと(しず)まり(かえ)ってしまいました。
このままでは、二人(ふたり)(みせ)今後(こんご)にかかわる大問題(だいもんだい)です。
シャロルの(みせ)()けないように、(なに)()()必要(ひつよう)があります。

 (すこ)したって、(つめ)たくなったコーヒーを一口(ひとくち)()んだ(あと)に、ダイが()いました。

「では、イヴとミルクもにじしょく(にん)(こな)()けてもらうのはどうだろう。
そうしたら、シャロルがどんな(あたら)しいにじの商品(しょうひん)()()したとしても、二人(ふたり)はちっともこわくないわけだ」

 それはみんなに、すばらしく(おも)えました。しかしリリスが()いました。

「でもにじしょく(にん)はもう、(べつ)(ところ)()ってしまったんだよ。
にじしょく(にん)(てん)にやとわれた(もの)だから、(かぜ)のように(はや)くいどうできるし、(つぎ)にどこにあらわれるか、(まった)くだれにも()からないんだ。
にじしょく(にん)のいばしょが()からないのに、どうやってにじの(こな)をもらおうって()うの」

「それでも、にじしょく(にん)()つけるしかないわ。
でもそれは、きっと(なが)(たび)になるわね」

 イヴが(しず)かに、ゆっくりと()いました。
()は、両手(りょうて)(つつ)むようにして()っていた、コーヒーをじっと()つめています。
イヴのひとみはとてもしんけんで、もう決心(けっしん)がついているようでした。

()(もの)にはだれしも、()きているうちに(たび)()必要(ひつよう)が、(かなら)一度(いちど)()るものなのです。
それは(とお)い、(ちか)いにかかわらずね。
イヴはそれが、きっと(いま)なのだと、すばらしい(いぬ)直感(ちょっかん)()かったのでした。

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次回の掲載は2024年5月10日です。
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