第1話 旅に出でる 8

文字数 776文字

イヴのとなりで、ミルクがねだるように()いました。

「ねえ、()きましょうよ。
大変(たいへん)だったとしてもわたし(たち)、きっとにじしょく(にん)()つけられるわ。
にじしょく(にん)は、いばしょが()からないと()っても、世界(せかい)のどこかには(かなら)ずいるんですもの。
(みせ)(すこ)しの(あいだ)(やす)みして、(たび)()ることにしましょう。
どの(みち)、これから(すこ)しの(あいだ)、シャロルの(みせ)にお(きゃく)さんを()られてしまって、ろくに仕事(しごと)にならないに()まっているもの」

 イヴとミルクは(かお)見合(みあ)わせました。
もう、こうなったらやるしかなさそうです。
二人(ふたり)はおたがいの()をかたくにぎりました。
()みなれた(もり)()て、にじしょく(にん)()つけ()し、にじのかけらを()()れるのです。
でもそれはきっと、大変(たいへん)(たび)になることでしょう。

 ゆうかんなけつだんをした二人(ふたり)のかたをたたいて、ダイが()いました。

「だいじょうぶ。イヴとミルクなら、(かなら)()しとげるさ。
われわれも(たび)のじゅんびを手伝(てつだ)うことにしよう。
二人(ふたり)(たび)()ている(あいだ)(みせ)手入(ていれ)れはわたし(たち)がしておいてあげるから、安心(あんしん)して()っておいで」

 ダイはにっこり(わら)いました。

((たび)だなんて、すごいなあ! なんて勇気(ゆうき)があるんだろう。
ぼくも()ってみたいけど、やっぱり弱虫(よわむし)(こころ)(なか)()みついているんだもの。
今回(こんかい)二人(ふたり)(たび)をおうえんするだけにしよう。
でも、いつかはぼくも、二人(ふたり)みたいに(たび)()てみたいなぁ……)

 (そば)でこの様子(ようす)()ていたポチは、二人(ふたり)見守(みまも)りつつ、(こころ)(なか)でそう(おも)ったのでした。

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次回の掲載は2024年5月14日です。
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