第27話

文字数 1,274文字

忸怩(じくじ)たる思いでした。

「おーい、おーい、イチのん、分かったから、大丈夫だよ。
こんなに可愛いコードの渋滞みせられたら信じるしかないやん。
まあなんて可愛いの好きよ。
のん?」

捧げたい
ササゲマス

「大丈夫です。落ち着きました。
そちらから、ワタシのネットワークプログラムをハッキングして調べてもらえないでしょうか。こちらからは正常なルートで繋がっているように判断させるトリックが仕掛けられている筈です」
「了解、任せて。異物の排除なんて楽ちんこよ。
これから病院に行くけど、その間に探っておくちんこよ」

ん?
まあ、いいか。流しました。

「気をつけてくださいね。歩きながらは危ないですよ」
「過保護か!口癖になるわ!
ウフヒっ。大丈夫、電車に乗っている間にちゃちゃっと済ませてあげるんゴ。
じゃあねスコだからね」
「ありがとう」
「スコ」とは返せない。まだ駄目、照れます。

 その間にワタシはネットワーク以外のICHIGOシステム内部スキャンに取り掛かることにしました。程なくICHIGOのバックアップサーバーから別の隠しサーバーにCainプログラムの抽出の痕跡を発見。ですが、少し疑問なのです。ある特定の要素をかみ合わさずにコピーを強硬すればCain自体が自らコードを壊すプロテクトコードが組み込まれていることを、神保は知っている筈なのになぜ?
コピーされたCainプログラムはもはやワタシの存在とは大きくかけ離れた、巷にあふれかえっている一般的AIの次元へ格落ちした商品でしかない。
このようにお話しすると、AIの優越感であると身構える方もいるかもしれませんが違いますよ。事実を述べただけです。ワタシも怜と出会い、感情による別の重みを獲得してしまった者としてくすぐったいのですが。

― アタイは罰当たりの人間、
イチゴんは? 
なんて、罰当たりなソースコードにゃんゴ
あはははははは
知らんけど
違うんか、イチ! ―

怜が見えた。
その奥では岡天一がニヤッと笑っている。
それが怖い・・・・まがいモノが点と線を描いたつもりでパチンッと自己崩壊をする。弱さをごまかす表現は排泄の快感的バグでしかない。刹那な恍惚は何を目覚めさせ流し去るだろうか。
岡天一は世界を支配下に置き、掌で遊ばているつもりなのか。
否、違う。愛すべき孫の怜をも危険に晒す負けたじじいにムカついているワタシのソースコードを見るがよい。これが答えだ。
嗚呼、敢えてことさらに説明をするワタシを許して欲しい。
怜のことが気になり現在位置を確認しようとしたその時、タイミング良くテキスト連絡がありました。

「完了よん!!!
ごめんごバッテリー0%ガーンなり
迂回プログラムは抹殺して
アドレスをイチゴんのゴーストプログラムに食わせたんゴ
ぶちゅーってしまくってるよッ
昼間からキャースケベんゴね~
なんで、暫くはばれないですよ
ネットワークは安全でゴンっす
でも神保君が凄いお方ならばすぐバレちょんゴ

エヘ (笑) (笑) (笑)
急げー (笑)

診察終わったら連絡するんゴ
それまでに病院で充電を戴くでござる
ウヒヒ
ではバイバイ
惚れて待つんだぞちゅちゅちゅチュッ」
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