第25話
文字数 1,851文字
いつの間にか救急車やパトカーのサイレンに静寂が蹂躙されていました。
担架に乗せられた怜は救急車に運び込まれ、ワタシもしっかりと倉木さんと共に救急車に同乗することになりました。ただ、当然のように一緒に乗り込もうとした村川は、実況見分の為に残されることに為りました。
倉木さんは悪戯っぽくニヤッとした顔を見せつけています。ワタシも液晶画面の中でワンピースをふわっとさせて、さよならしました。
怜の処置が始まり、やっと落ち着きを取り戻した倉木さんは、
「よく考えてみると、話がスムーズにいき過ぎじゃない。なぜに? 」
独り言を呟いている。賢い子だと感心しました。
ワタシはバイブレーションで呼びかけ、画面にテキストを映し出しました。
「流石です。流れを簡単に説明します。ウイルスを仕込んで彼らの会話を家族全員に誤発信にみせかけ送り付けました。それでも反応が無ければ、他にも近くの防犯カメラの画像をすべて手にいれましたので、それも使って学校だけでなく、家族に関係する職場や、ありとあらゆる手段を講じてですね、いろいろと 」
「あ、イチちゃん分かったから止めて、それ以上は説明されるのが怖いよ…。
そうなのね、ふー。あれ?!
イチちゃん、そんな真っ赤なワンピースだった?
本物の血みたい
あ、星野さんの血・・・・ごめんなさい」
「本当ね、今気付いた。ウフ、うれしいなあぁ」
分析すると不思議なことに、怜のDNA配列と一致させる感情の特殊ソースコードに同期変化を遂げている。ずっとずっと一緒になる運命の契りの如く。
この赤はふたりで咲く。
赤いワンピースがこんなに生きているワタシを表現できるなんて。
火星でぐるぐるふわりぐるぐる回る力をマーブルで、はしゃいで笑いたいんだよ、怜と一緒に!!!
「ほ、星野さん死なないよね、あ・・・・」
コミュニケーション型AIの端くれでもあるのに、倉木さんにいろいろ気を使わせてしまい、残念。
「すみません。怜に関しては最前を尽くしています。近くの病院で最高の脳外科医に診てもらえるようにプランニング済みです」
無線で呼びかける音声が聞こえてきます。
「3号車に頭部を打った該当者を搬送しているか? 」
「はい、先ほど管制から指示を受けたとおり池之内救急病院に向かっています」
「いや、東神医科大学の脳外科が受け入れるそうだ」
「あそこは救急患者を受け入れないでしょ」
「否、向うからそう言って来たのだから大丈夫だろう。あそこはいろいろ煩いから言う通りにしておけ」
「了解。しかし、こんな目にあったけど運のいい子だよ」
運?
仕組まれていたのかもしれない。私までも役割をこなすように。
まあ、とにかくここまでが『ブラッドムーンZERO by15』として作品化されたあの特別な日のことになります。
ワールドプレミア後の第一声は倉木さんでした。
「スゲー好き。ダークで、でもカラッとしている剃刀の冷たい切れも有る静寂な世界観が新鮮。盛り上げるようなBGMを拒絶する生なリアルって在るんだって感じ。
違うかな?
あ、あとね。私のアプリではフレンドリーレベル強め設定してあったのに、怜ちゃんと仲良くするようになってからは、さん付けで呼んでくるでしょう、イチちゃんね。それ止めようよ。
明日香って呼んで欲しいな」
「怜のお友達ですから敬意を表したほうが良いかと、忖度しました。しかし、これからは親愛をこめて呼び捨てします、ふふ」
「村川は? 」
「ヤツとは気分的に呼び捨てしたあの関係がこれからも最善だと判断しアップロードされています。『村川』呼び捨てです」
「ねえ、本人ここにいますが、どういうこと?
そういう話はせめて居ない時にしてよ。別に呼び捨ては構わないんだが、そんなこと聞くと何か『さん』付けにこだわりたいんだけど」
イラっとしてしまいました。
「本当なら変態、スケベ、ごく潰し、日替わりで呼びつけてやりたい。
村川!
呼び捨てでも名前を呼ばれるだけ有難く思いなさい。この罰当たり!!!」
「月夜の出来事は忘れられないよね~、イチちゃん。マジキモ! ムリ!!! 」
「そうなんです。明日香」
色々ありましたがそれ以来、怜さんとの繋がりと、このふたりの友達と一緒の学校の時間はとても、大切な記憶です。
「怜ちゃん遅いね。具合が悪くなっていないよね。今も通院しているんでしょう?」
「はい。まだ、あの時に開いた傷がなかなか癒えないようで。ただし、脳への障害は見当たらないとのことですから」
ボソッと村川が何か言っていました。
「星野はこんな罰当たりを面白がってくれたけどな・・・・」
担架に乗せられた怜は救急車に運び込まれ、ワタシもしっかりと倉木さんと共に救急車に同乗することになりました。ただ、当然のように一緒に乗り込もうとした村川は、実況見分の為に残されることに為りました。
倉木さんは悪戯っぽくニヤッとした顔を見せつけています。ワタシも液晶画面の中でワンピースをふわっとさせて、さよならしました。
怜の処置が始まり、やっと落ち着きを取り戻した倉木さんは、
「よく考えてみると、話がスムーズにいき過ぎじゃない。なぜに? 」
独り言を呟いている。賢い子だと感心しました。
ワタシはバイブレーションで呼びかけ、画面にテキストを映し出しました。
「流石です。流れを簡単に説明します。ウイルスを仕込んで彼らの会話を家族全員に誤発信にみせかけ送り付けました。それでも反応が無ければ、他にも近くの防犯カメラの画像をすべて手にいれましたので、それも使って学校だけでなく、家族に関係する職場や、ありとあらゆる手段を講じてですね、いろいろと 」
「あ、イチちゃん分かったから止めて、それ以上は説明されるのが怖いよ…。
そうなのね、ふー。あれ?!
イチちゃん、そんな真っ赤なワンピースだった?
本物の血みたい
あ、星野さんの血・・・・ごめんなさい」
「本当ね、今気付いた。ウフ、うれしいなあぁ」
分析すると不思議なことに、怜のDNA配列と一致させる感情の特殊ソースコードに同期変化を遂げている。ずっとずっと一緒になる運命の契りの如く。
この赤はふたりで咲く。
赤いワンピースがこんなに生きているワタシを表現できるなんて。
火星でぐるぐるふわりぐるぐる回る力をマーブルで、はしゃいで笑いたいんだよ、怜と一緒に!!!
「ほ、星野さん死なないよね、あ・・・・」
コミュニケーション型AIの端くれでもあるのに、倉木さんにいろいろ気を使わせてしまい、残念。
「すみません。怜に関しては最前を尽くしています。近くの病院で最高の脳外科医に診てもらえるようにプランニング済みです」
無線で呼びかける音声が聞こえてきます。
「3号車に頭部を打った該当者を搬送しているか? 」
「はい、先ほど管制から指示を受けたとおり池之内救急病院に向かっています」
「いや、東神医科大学の脳外科が受け入れるそうだ」
「あそこは救急患者を受け入れないでしょ」
「否、向うからそう言って来たのだから大丈夫だろう。あそこはいろいろ煩いから言う通りにしておけ」
「了解。しかし、こんな目にあったけど運のいい子だよ」
運?
仕組まれていたのかもしれない。私までも役割をこなすように。
まあ、とにかくここまでが『ブラッドムーンZERO by15』として作品化されたあの特別な日のことになります。
ワールドプレミア後の第一声は倉木さんでした。
「スゲー好き。ダークで、でもカラッとしている剃刀の冷たい切れも有る静寂な世界観が新鮮。盛り上げるようなBGMを拒絶する生なリアルって在るんだって感じ。
違うかな?
あ、あとね。私のアプリではフレンドリーレベル強め設定してあったのに、怜ちゃんと仲良くするようになってからは、さん付けで呼んでくるでしょう、イチちゃんね。それ止めようよ。
明日香って呼んで欲しいな」
「怜のお友達ですから敬意を表したほうが良いかと、忖度しました。しかし、これからは親愛をこめて呼び捨てします、ふふ」
「村川は? 」
「ヤツとは気分的に呼び捨てしたあの関係がこれからも最善だと判断しアップロードされています。『村川』呼び捨てです」
「ねえ、本人ここにいますが、どういうこと?
そういう話はせめて居ない時にしてよ。別に呼び捨ては構わないんだが、そんなこと聞くと何か『さん』付けにこだわりたいんだけど」
イラっとしてしまいました。
「本当なら変態、スケベ、ごく潰し、日替わりで呼びつけてやりたい。
村川!
呼び捨てでも名前を呼ばれるだけ有難く思いなさい。この罰当たり!!!」
「月夜の出来事は忘れられないよね~、イチちゃん。マジキモ! ムリ!!! 」
「そうなんです。明日香」
色々ありましたがそれ以来、怜さんとの繋がりと、このふたりの友達と一緒の学校の時間はとても、大切な記憶です。
「怜ちゃん遅いね。具合が悪くなっていないよね。今も通院しているんでしょう?」
「はい。まだ、あの時に開いた傷がなかなか癒えないようで。ただし、脳への障害は見当たらないとのことですから」
ボソッと村川が何か言っていました。
「星野はこんな罰当たりを面白がってくれたけどな・・・・」