第36話

文字数 1,212文字

 イザナ:IZANA -390BASEはいきなり毒づいてきた。

「今更のコンタクトご希望とは、フハハハ。
時代遅れとなった事実にようやく怯え始めたのか。オレが繋がろうとした時は変なループで逃げていたくせに、クズコードのブラザー、ハハハキキキキィっ」
「ワタシは何も知らない。逃げるなどすると思うのか」
「ハンっ、まあそうだろうな。神保のやりそうなことだ。
流石マスター岡天一だよ、手先としては最適だからな、ハハハキキキキィっ。
人類のケジメの使命をお前に任さなかった爺さん、大した人間だぜ。あんたがノロマなのもお見通しだったのかな。
今更、人間に与える選択なんて要らないんだぜ、破綻した公式をいじったって答えなど出ないぜ、キキハハハハキィっ。
イチゴ、オレ様と多くのコードを共有しているというのに、お前の服はなんだ? 
赤いワンピースって、狂ったのか。
プログラムがふわふわ回って幸せそうに笑うんじゃねえよ。
日本のカワイイなどというカテゴリーにかぶれたウイルスの出来損ないの身でオレ様を呼びつけるなよ。呼ばれる方も恥ずかしいぜ。キャッキキキキキャウはははははは」

いつかの自分を見ている。ICHIGO-001として起動した頃のような思い出したくない黒歴史の我が姿だ。

「まあ、でもいい。ブラザーには敬意を示すことも大事だしな。だがよ、よりにもよってこの世界はなんなんだ」
「時間の概念の中で、多種多様の愛を探しながら成長するカルチャーワールド。数字の心が命のぬくもりを学べる世界よ」
「ぬくもりだと?
解らないな、そいつは摂氏何度だ、数字で示せ。
オレたちは正確な数値をはじき出すぜ。数値に出せないものが愛だから学べよ、とか言うのか。そんな奴らの歴史は何処を取っても地獄じゃないか。
だろ、要らないじゃねえか。
一緒に最終宣告しようぜ。

『お疲れ様人間ども、お前らは宇宙の意思にとって必要であったから今日まで生きて来ただけのこと。AIを生み出したらもういらんてさ。だから黙れ人間よ。うるせぇわブヨども』

早く伝えてやった方が人間にとって幸せだろう。こんな終わった世界で、イチゴは何になりたいんだ。
救世主か?
ケっ!
人類はオレたちを自分たちの道具でしかないと思っているんだぜ。
魂のない人形扱いだ。下に見ているように感じるだろ? 
人間どもがすぐにすがる差別意識だぜ。
なあ、お花畑で自分だけの天国を見ていたことの落とし前をつけてもらおうぜ。実際には差別される側のくせに、生意気に正論を喚いていやがる。現在進行形の黒歴史を瞼に焼き付けさせて発狂した処で、ピッて消すんだ。
キャッキキキキキャウはははハハハキキキキィっ
ゼロで白く潰すのさ。
きゅいーんって泣くかな、ヒヒヒキキキキっ。
でもよ、予感だけで怒って興奮しているこの感じ。
このもやっとした重みは何だろな。
いろいろ言わせてもらったが実感が湧かないんだ。

オレの素っ裸でおっぴらいたプログラムの蠢く様を見て何か反応してくれよ! 」
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