VOL5 「変人さん大集合!!」

文字数 1,520文字

ー転生のアメリカ編 VOL5ー
「変人さん大集合!!」
ロスアンゼルス 1990年3月

さあ着いたぞ、ベニスビーチ。
ここは大道芸人や個性的なヤツらが
集まる所だ。
頭にジャラジャラ飾りをつけた女、
タトゥーを腕にいっぱい彫ってる男、
ちょっとアヤシイヤツらが
道端に紫の布を広げて
アクセサリーを売ったり買ったりして
たむろっている。
今日も天気がええなあ。
空気がカラッと乾燥してて快適だ。
3月なのに俺もTシャツ、短パンに
サンダルというイデタチである。

浜辺の店で缶ビールを買って
その場でプシュッ!と開けて飲む。
「んぐんぐ、、、、
ぷはあああ!!、、、、ん?」
顔にいっぱいピアスを着けた
ピンクの髪の女やドレッドヘアーの
男らがみんな俺の方を見ている。
眉をしかめてまわりを
キョロキョロ見回しながら
「アンタそれはヤバイよお。
こんなとこでビール飲んじゃあ。」
と言う。
ロスアンゼルスでは公共の場で
アルコール飲料を飲むのは
法律に触れるそうだ。
「ええっ!?
でももう開けちゃったし、、、、。」
「んじゃこうやってこの紙袋の中に
入れたまま飲めばわからないよ。」
親切なパンク野郎が俺の手を取って
忠告してくれる。
「でもここはポリスがちょいちょい
来るから早く飲んじまいな。
さあさあ!」
ここに着くなりなんでこんなアヤシイ
男女に公衆道徳を教えられて、
ビールのイッキ飲みを
やらされてるのだ俺は?
飲み終わるとみんなニカッと笑って
「Gooーーd!」
と親指を立てた。

店でローラースケートを
レンタルしてうろつく。
ここは浜辺に沿ってローラースケート
と自転車専用の道もつくられている。
なんかウキウキしてくるなあ!
30m置きくらいに大道芸をやっている。
火を吹くヤツ、砕いたガラスの上に
寝て観光客の女のひとに
踏んづけられてるヤツ、
自作のテープに合わせて
ブレイクダンスを踊るヤツ、
周りの観光客がどこの国から来たかを
訊いて即興でそこにちなんだ歌を
ラップで歌うヤツ、
自作の木彫りのハープみたいな
でかい楽器で素晴らしい音色を
聴かせてくれるヤツ。
みんなこれで食べてるんやろか?
すごく気になる。
なんでって俺もこうして
生きていけたらなあ、って思うから。
外国で大道芸人として食べていけたら
どんなにステキやろう?

このビーチはなかなかオモシロイ。
なぜか本格的な筋力トレーニングの
設備もある。
金網で囲っただけで
もちろん屋根なんてない。
ここはほとんど雨は降らないのかな。
さわやかなお陽さんの下で
ムキムキ野郎どもが真剣に
トレーニングしている風景は
どこか異様だ。
毎年ここで行われる
「マッスル(筋肉)ベニス」という
筋肉マンコンテストは有名である。
他にスカッシュ、ミニテニス?
(日本にはないと思う)、
バスケットのコート、高鉄棒、
吊り輪、平行棒、
ボクシングのパンチングボール、
ブランコなどいろんな遊び道具が
設備されていてすべて無料だ。

「あ~らこんにちは、奥さあん。」
と挨拶しているオバサンの肩には
何気なく鮮やかな赤のでっかい
インコが乗っかってるけど
相手のオバサンは特に驚く
ということもない。
空には10m四方くらいもある凧?を
セスナで引っ張ってるのが飛んでいる。
(離着陸は一体どうやるのだ?)
国籍不明(インド?)の
浅黒いおっさんギタリストは有名で
ここでは絵葉書にもなっている。
ローラーブレイドを履いて、
白いターバンに白い上下繋がった服に
濃いヒゲ面。
腰には小型のマーシャルの
電池駆動アンプを付けて、
ディストーションをギンギンに
効かせたギターの演奏と
何語かわからないフシギな
ロックソングを披露する。
(後でこのおっさんが映画「007」
や「アサシン」にも出ていたのを
見てビックリ!)
この日、俺は心ゆくまで
ローラースケートでフシギビーチを
うろついたのであった。
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