2022.11.21〜11.27

文字数 956文字

///同い年///11.21

年齢が同じというのは親しみを感じる理由のひとつだろう。彼女が記憶の中の15歳に帰るとき、私は同じ歳の少年となって彼女の傍らに立つことができるのだ。


///ささやかな板///11.22

個人差はあるものの、人間はみな学習をする生き物だ。なかでもニガイ、イタイ、そんな経験は学ぶための大きな糧となる。

しかし男と女の間を隔てるこの大きなクレバスを埋める、いや、埋める必要はなく、ただ人がひとり渡れる程度のささやかな板を渡すことができさえすればいいのだが、それを成す術を身につけることが如何に困難であるかを私たちは知っている。


///異星人///11.23

自分の中に存在しない感情を理解することは誰にとっても簡単ではない。

携帯でゲームを続けながら夫に会社での出来事を説明している間にテレビで進行しているサスペンスドラマの犯人の目星がつけられる妻にとって、典型的シングルタスクである夫は、もはや同じ惑星の生物ではないのだ。


///オープンカー///11.24

エアコンのスイッチを切り、運転席と助手席のウインドゥを全開にする。

夏の始まりの気持ちのいい風が僕の髪とシャツの襟元を乱しながら小さな車内を満たした。

どうせならオープンカーでも借りればよかったと少し後悔した。


///頭寒足熱///11.25

「頭寒足熱をトウカンソクネツって読んだから」

彼女が、文句のつけようの無い若手エリート官僚のプロポーズを断ったその理由を聞いて、一瞬えっ?本当に?と思った。

でもよく考えてみたら、なんかわかる気がする。


///歩道橋より///11.26

私の日常の通行ルートにないということもあり、歩道橋を渡ることはあまり無い。

だからたまにそんな機会があるととても新鮮な体験をする。

間近で見た信号機のその大きさ。
手の届きそうな電線のその太さ。
真上から見る車の天井とハゲアタマ。

視点を変えるのはとてもよい。


///来世で悩む///11.27

医療ドラマで活躍する医師を見て、来世は医者になろうかと考える。今お金の心配がたえないからなおさらだ。

ロックバンドのライブに行って、やはり来世はギタリストになりたいと思う。でもきっと売れない時期は辛いのだろうと想像がつく。

何にしろ、来世もお金のことを考え続けて生きるような予感がして、なんか切ない。
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