２０２２．９．５～９．１１

///インナ・トゥーイヤーズ///9.5

　果たせていない約束は数えきれない。そして期限の過ぎてしまったものはもはやどうすることもできない。

　でも、淡い期待をしてしまうのはなぜだろう？

　もしかしたら外国では時間の流れが違う方式で成り立っているかもしれないし、国を出ている間は時間を止めてよいという法律があったりして。

　プロミス、シーユー、アゲイン、インナ・トゥーイヤーズ。

　あの日からもう30年が過ぎた。


///決定権者///9.6

　天気を決めているのはお日さまではなく雲だということに気づけば、晴天を望むとき誰に願えばいいかは考えるまでもない。

　晴れ女が雨好きであるという皮肉な現実は至極あたりまえのことなのだ。

　私を嫌う奴の願いなど聞いてたまるか！


///世界的闇の組織///9.7

　ショッピングモールのペットショップに仔犬を見に行った。

　この違和感は何なのか？

　お目当ての豆柴やミニチュアダックスがいない。まったくいない。モコモコふわふわ系ばかりのケージが並ぶ。

　いつもそれなりのバランスを保っている小さな世界に明らかな異変が起きている。

　おそらく、

　世界的な規模の闇の組織が、とんでもない動きを始めたに違いない。

　と、そんな妄想でも抱かなければ、この落胆とのバランスのとりようがない。


//この世界の構成要素///9.8

　この世界はやはり、光と影で出来ている。

　そう思った。べつにたとえ話ではないし、深い意味もない。

　40年ぶりのデッサンという行為が、私に世界の成り立ちを思い出させてくれただけ。

　放課後の美術準備室のあの陰湿な匂いと、手に残る練り消しゴムの感触とともに。


///そんなあなたに私はなりたい///9.9

　古いけれど手入れが行き届いた建物。

　決して取れないシミさえネンリンと思えるテーブル。

　壊れても壊れても治して使ってもらえる古い道具。

　そんなものに私もなりたい。いつか。


///挫折///9.10

　こころざし半ばで挫折することがある。人は弱いものだから仕方がない。

　包み紙を丁寧にはがす。

　手を汚さずに焼き魚の骨をとる。

　昨夜みた夢のおもしろさを説明する。

　そんなに自分を責めなくていい。あきらめなければ挑戦は続くのだ。


///16時間睡眠ビフォーアフター///9.11

　いろんな条件が重なって16時間眠ったことがある。子供じゃあるまいし、仕事を持っている大人が、たとえ休みの日だとはいえ、一度も目を覚まさずにそんなに長く眠れるものではない。

　体調が悪かったわけじやない。何かの薬を飲んだからでも、深酒をしたからでもない。

　家族は留守。仕事は休み。目覚ましはかけず、携帯は電池切れ。それだけ。

　ちょっとだけ生まれ変わったような気がした。

　でも世界は何も変わってはいない。たぶん。家族も職場も前のまま。たぶん。

　たぶん。