ルビンさんの壺

文字数 710文字

ルビンさんはイタズラ好きです

やぁ ご機嫌よう

ここだけの話だがね と

ニンマリ 耳打ちをしてきます


ふたりは 相変わらず見つめ合ったまま


本当はね

もうひとり いるのだよ

誰にも話しちゃいないがね


もうひとり?


そうだとも 探してごらんなさい


ハハァ なるほどね と思う

壺をどけてみる

見た目より重い ずっしりとくる

ゴロンと転がしてみたけど 誰もいない

ふたりは チラッとボクを見て 薄笑いを浮かべている

ハハァ なるほどね と思う

そういうことか

壺の中を覗いてみる

でも いくら目を凝らしても 暗くて何も見えない

しかたないな

口をしっかり掴んで エイヤッと 胸元まで潜り込んでみる

壺の中は真っ暗で 上も下もなく 右も左もない

目だけが何かを探そうと キョロキョロと勝手に動く

でも 何も見えない 誰も見つからない

チェッ

ルビンさん ウソじゃないでしょうね

ホントにもうひとりいるの?と思ったら

あ 目が合った


なぁーんだ こんなところに隠れてたのか

パッチリとした目だ

きっと子ネコみたいな女の子だ


ヤァ 

あいさつの代わりに

ニコッと片目を閉じてみた


その途端


あれ 身動きが取れない

手足が まったく動かせない

ここはどこなんだ

どういうことだ

まさか まさか そんなこと ないよな

見ていたはずだった

なのに いまは見られてる

ホントかよ マジかよ


ねぇ キミ お願いがあるんだ

ボクを 引っ張り出してくれないかな

ヘラヘラ笑ってないで 助けておくれよ


オイオイ 元気でね じゃねぇだろ

あ ウィンクなんかしやがった

テッメェ こっから出せっていってんだよ

コラ なにしてんだよ

バカ フタなんかするん……


とぎれとぎれに さんにん分のクスクス笑いが聞こえてくる


ルビンさん 少々イタズラが過ぎませんか




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