死神ジュンの葛藤 第7話

文字数 352文字

猫の心象風景が徐々に消えてゆく…

それは一種の蜃気楼のようなものだ。

現実を塗り替えることが出来るのはほんの一瞬で、あとはただ消えゆくのみ…

世界は本来あるべき姿を取り戻す。




後に残されたのは、もう動かなくなった年老いた猫が一匹…

猫の魂は既にここにはなく、その亡骸はまるで眠っているかのようだった。



「あなたは本当にそれで良かったの?」



猫が作り出した心象風景の中で、ジュンはその一部始終を見ていた。



老婦人の魂と猫の魂が、ともに手を携えるように昇華してゆく姿も見届けた。



それでいてなお、ジュンには今回の措置が本当に正しかったのか?そうではなかったのか?わからなかった。



ジュンは老婦人の家の庭に生えている桜の木の下に猫を埋葬すると、そこを後にした…



死神レーダーには反応が後を断たない…



今夜も忙しくなりそうだ………



(終)
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