第5話
文字数 1,086文字
水淼の大龍には、実は大きな意志というものはありません。龍と同じく誰かが使役しているのでしょう。
それがわかれば居ても立っても居られないのが、武なのです。
ここ存在しないはずの神社に来る前に、一目会いたかったはずです。幼馴染の麻生 弥生と……。
ですが、時間がありませんでした。
そこで、武は私に一枚の手紙を渡しました。
そうです。麻生 弥生という命よりも大切な幼馴染に渡してくれとのこと……。ですが……。
大広間の松や竹の模した襖が開きました。
「武!!」
武は開いた襖に目を向け、びっくり仰天しました。
そうです、麻生 弥生です。
私がいち早く。鳳翼学園へと向かい。手紙を渡そうとしてオロオロとしていると、高取さんに会いました。「渦潮を使えばいいのに……。麻生さんも行きたくて……もう、準備をしている」とのことでした。すでに、高取さんは何もかも知っていたのです。
大広間で、武と麻生は抱き着いています。
昼食の膳が幾つかひっくり返っていますが、私もそれを見てしばらく泣いてしまいました。
やっと、会えたのでしょう。
二人とも無言でした。
そう、いつまでも……。
何やら、恐ろしい威圧感を後ろから受けますが、きっと鬼姫が焼きもちをやいているのでしょう。でも、ここはこのまま。
それからかなり経って感動的な再会の後です。
武は神社の外へ居ました。
私には早くに水淼の大龍に打ち勝つ力が欲しいのです。
何故なら……理由は後にしますが、武には一分一秒でも早く本星へと戻ってほしいのです。
武もそのつもりのようです。
丁度、昼の15時頃。
鬼姫と蓮姫は武装して、武と大海の前にいます。存在しないはずの神社から小舟を漕いで、少し離れた小島に来ました。
「では、武様。しっかり見ていてくださいね」
そういうと、鬼姫は数打ちの刀で、一度大海に背を向け、振り向きざまに大地を踏んで刀を振り下ろしました。
「えい!」
鬼姫の掛け声とともに、天と地を一周したかのような刀の軌道から発せられる気は、大気を震わせ大海のど真ん中に、ガコンとまるで空気の拳で殴ったかのような大穴を開けました。
海が悲鳴を上げる。
大穴からは、両脇へと海水が物凄い勢いで噴出していきます。
なんと、大海は全て消え去り、断末魔と共に大地が見えてきました。
「これが……幻の剣。龍尾返し……」
轟々と音のする大海の大穴からは、珊瑚やカニやウニまでがここから見えています。
少し額に浮き出た汗を拭って、鬼姫はニッコリと微笑んで武を見ました。
「すぐに覚えられそうですか?」
「武なら大丈夫だね」
蓮姫が武の肩をポンと叩きました。
それがわかれば居ても立っても居られないのが、武なのです。
ここ存在しないはずの神社に来る前に、一目会いたかったはずです。幼馴染の麻生 弥生と……。
ですが、時間がありませんでした。
そこで、武は私に一枚の手紙を渡しました。
そうです。麻生 弥生という命よりも大切な幼馴染に渡してくれとのこと……。ですが……。
大広間の松や竹の模した襖が開きました。
「武!!」
武は開いた襖に目を向け、びっくり仰天しました。
そうです、麻生 弥生です。
私がいち早く。鳳翼学園へと向かい。手紙を渡そうとしてオロオロとしていると、高取さんに会いました。「渦潮を使えばいいのに……。麻生さんも行きたくて……もう、準備をしている」とのことでした。すでに、高取さんは何もかも知っていたのです。
大広間で、武と麻生は抱き着いています。
昼食の膳が幾つかひっくり返っていますが、私もそれを見てしばらく泣いてしまいました。
やっと、会えたのでしょう。
二人とも無言でした。
そう、いつまでも……。
何やら、恐ろしい威圧感を後ろから受けますが、きっと鬼姫が焼きもちをやいているのでしょう。でも、ここはこのまま。
それからかなり経って感動的な再会の後です。
武は神社の外へ居ました。
私には早くに水淼の大龍に打ち勝つ力が欲しいのです。
何故なら……理由は後にしますが、武には一分一秒でも早く本星へと戻ってほしいのです。
武もそのつもりのようです。
丁度、昼の15時頃。
鬼姫と蓮姫は武装して、武と大海の前にいます。存在しないはずの神社から小舟を漕いで、少し離れた小島に来ました。
「では、武様。しっかり見ていてくださいね」
そういうと、鬼姫は数打ちの刀で、一度大海に背を向け、振り向きざまに大地を踏んで刀を振り下ろしました。
「えい!」
鬼姫の掛け声とともに、天と地を一周したかのような刀の軌道から発せられる気は、大気を震わせ大海のど真ん中に、ガコンとまるで空気の拳で殴ったかのような大穴を開けました。
海が悲鳴を上げる。
大穴からは、両脇へと海水が物凄い勢いで噴出していきます。
なんと、大海は全て消え去り、断末魔と共に大地が見えてきました。
「これが……幻の剣。龍尾返し……」
轟々と音のする大海の大穴からは、珊瑚やカニやウニまでがここから見えています。
少し額に浮き出た汗を拭って、鬼姫はニッコリと微笑んで武を見ました。
「すぐに覚えられそうですか?」
「武なら大丈夫だね」
蓮姫が武の肩をポンと叩きました。