第4話 鏡
文字数 2,733文字
翌日・・
香織と杏果と自分で鏡心神社に向かう。日も暮れて空は暗くなっている。この前と同じ道なりをすすんで神社に着いた。お参りしてから神主の元に訪ねる。
ピンポーン、神主さんの家のインターホンを押した。
「こんばんわ、お久しぶりですね」神主さんが出てきた。
「こんばんわ、お久しぶりです」と俺は言った。
「どうぞ」
「お邪魔します」
「お邪魔します」
「お邪魔します」
杏果は少し緊張気味だ。
この前に来たところと同じ、客間であろう畳に案内された。俺たちは横一列に並んで座布団に座った。
「どうぞ」
多分奥さんと思う人にお茶を出してもらった。
「ここまでわざわざ来てもらってありがとう、その子は友達の?」
「相澤杏果です。湊とは幼馴染で、香織さんが元の時代に戻れるようにお手伝いしています」
「それはありがたいですねーよろしくお願いします」
「はい!」
杏果は元気よく返事した。
「香織さんは元気ですか?」
「元気ですよ、湊さんと杏果さんのおかげで楽しく過ごさせてもらっています」
「それは良かったです」
「それでは本題に入りますね、神隠しとはなにか細かく調べたのですが、ある書物によると、神隠しとは神様が気まぐれで人をさらうことと書かれていました」
「神様が気まぐれ人をさらう?」
俺は困惑した。
「気まぐれで人をさらうというのは人間側の解釈で、本当はどうなのかはわかりません」
「なるほど」
「また事例がいくつか載っていました、それぞれに共通していることは鏡心神社の境内で人がいきなり行方不明になって、少し経ってからいきなり本殿の鏡の前に現れることです。そしてそれぞれ消えた人に話を聞いてみると、今とは全く違う時代に飛ばされていて、その時代は人によってばらばらで、それぞれ元いた時代から未来であろう時代に飛ばされています」
「神隠しは香織だけじゃないのですね」
「そうみたいですね、ちなみに香織さんのことも調べてみました。今の時点では、恐らく香織さんは無事に過去に戻れていないみたいですね。」
「え?それはどういうことですか?」
俺はまったく理解ができなくなっていた。
「本来は神隠しにあった場合過去に戻すのが道理らしいのですが、今回は違うということですかね」
「そうしたら香織はどうなるのですか?」
「恐らく、香織さんはこのままだと未来、今にずっといることになるということだと思います」
「!?」
俺は呆気に取られていた。
「そのままでいいのでしょうか・・・」
「でも、まだ確実にそうなるとは決まってないんです。まだ香織さんに関する史料が出てきて、過去に戻れた事が書かれていればいいんですし、戻れる方法はあります」
「そうですか・・・」
「お父さんに少し話してもらったことを思い出しまして、話してもらったときはおとぎ話程度だと思っていたのですがね・・・本当にこのまま香織さんが過去に戻れず、この歴史通りになってしまうのは少し違うような気がします・・・」
「・・・香織は戻りたいんだよね?」
「・・・はい、自分がやるべきだった巫女の仕事がありますし・・・」
香織は暗い顔で少し間を置いてから答えた。
「とりあえず過去に戻れるという選択肢をつくっておけばいいと思います」
神主はそう提案した。
「確かに、今決めないでもいいですし、過去に戻りたい時に戻れる状態にしとけばいいですものね」
俺は納得した。
「香織、それでいいか?」
「そうしましょう」
香織も納得してくれたみたいだ。
「それで過去に戻る方法はですね、鏡のかけらを集めることらしいです」
「鏡のかけらですか、まず何で鏡なんですか?」
俺は単純に疑問に思った。
「鏡は万物を映し出し、ここの神社は鏡を神様の依代にしているのですよ」
「依代とはなんですか」
俺は続けて質問した。
「依代というのは神様を山などの自然物や、鏡などの道具に招くことをいいます」
「なるほど、それでなぜ破片?」
「神様が神隠しをなさった際に未来、現在の鏡が五つに割れるのですよ。それはなぜだかわからないのですが・・・割れた鏡のかけらは本殿から消えてこの三浦半島の神社にそれぞれ散らばっているらしいです」
「それで散らばっている五つのかけらを集めると過去に帰れると」
「そういうことです、後これも大事なのでちゃんと覚えててください、戻れるのは大体三ヶ月以内です」
「え、三ヶ月しかないのですか?」
「はい」
正直理解が追いつくのに精一杯だ。
「香織は理解できたか?」
「何となくは」
「杏果は?」
「ちょっとわからないな」
数分後・・・
杏果に説明しなおした。かなりぶっとんだ話だと思うからよくわからないのは当然だ。
「それで鏡のかけらはどこの神社にあるとかは分かっているのですか?」
「三浦半島の神社としかわかっていないですね」
「結構神社あります?」
「かなりあります」
まじか・・・これを三ヶ月以内か結構きついな・・・心の中で不安に思った。
「ちなみに、五つのかけらそれぞれ、神社の本殿の後ろに置いてあるらしくて、かけらは一般人には見えないらしいです」
「それじゃあどうやって見つけるんですか?」
「おそらく、かけらを欲するものしか見えないですね」
「随分抽象的な説明ですね」
「すみません・・でも、かけらの存在を知っている湊さんたちには見えることは確かです」
「なるほど・・・・」
俺は不安な顔をした。
「大丈夫よ!みんなでいけば少しは楽になるよ!」
杏果が励ましてくれた。
「たしかにな、きびしい戦いになるけど頑張ろう!」
「頑張りましょう!」
香織もそう意気込んだ。
俺は出されたお茶を飲み干し、一息ついた。
そして神主さんに鏡のかけらがどのような形をしているかなど細かいことを聞いて、メモをとった。
数十分後・・・いつの間にか20時になっていた。
「今日はありがとうございました。それで言い忘れていたのですが、私は忙しくて鏡の破片探しは手伝えないです。本当に申し訳ないです」
そう神主は言った。
「忙しいのは仕方がないですよ」と俺は言った
「あと、かけらが見つかったり、何かあったりしたら報告してもらえると助かります」
「わかりました、報告します」
「それではみなさんよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
「「よろしくお願いします」」
神主さんと別れ、神社を出た。もう疲れたのですぐに家に帰る。駅に向かう途中の潮風が少し肌寒かった。
「ただいまー」
家に着き、今日はみんなおつかれなので夜ご飯はお惣菜をおかずにした。食べた後すぐに風呂に入り、出た後は今日聞いたことをまとめノートに書き留めた。今起きていることはいまだに信じ難く、夢でもみているのではないかとも思うほどだが現実を受け止めるしかないのだ。
とりあえず明日は学校だ。憂鬱だな・・・・
香織と杏果と自分で鏡心神社に向かう。日も暮れて空は暗くなっている。この前と同じ道なりをすすんで神社に着いた。お参りしてから神主の元に訪ねる。
ピンポーン、神主さんの家のインターホンを押した。
「こんばんわ、お久しぶりですね」神主さんが出てきた。
「こんばんわ、お久しぶりです」と俺は言った。
「どうぞ」
「お邪魔します」
「お邪魔します」
「お邪魔します」
杏果は少し緊張気味だ。
この前に来たところと同じ、客間であろう畳に案内された。俺たちは横一列に並んで座布団に座った。
「どうぞ」
多分奥さんと思う人にお茶を出してもらった。
「ここまでわざわざ来てもらってありがとう、その子は友達の?」
「相澤杏果です。湊とは幼馴染で、香織さんが元の時代に戻れるようにお手伝いしています」
「それはありがたいですねーよろしくお願いします」
「はい!」
杏果は元気よく返事した。
「香織さんは元気ですか?」
「元気ですよ、湊さんと杏果さんのおかげで楽しく過ごさせてもらっています」
「それは良かったです」
「それでは本題に入りますね、神隠しとはなにか細かく調べたのですが、ある書物によると、神隠しとは神様が気まぐれで人をさらうことと書かれていました」
「神様が気まぐれ人をさらう?」
俺は困惑した。
「気まぐれで人をさらうというのは人間側の解釈で、本当はどうなのかはわかりません」
「なるほど」
「また事例がいくつか載っていました、それぞれに共通していることは鏡心神社の境内で人がいきなり行方不明になって、少し経ってからいきなり本殿の鏡の前に現れることです。そしてそれぞれ消えた人に話を聞いてみると、今とは全く違う時代に飛ばされていて、その時代は人によってばらばらで、それぞれ元いた時代から未来であろう時代に飛ばされています」
「神隠しは香織だけじゃないのですね」
「そうみたいですね、ちなみに香織さんのことも調べてみました。今の時点では、恐らく香織さんは無事に過去に戻れていないみたいですね。」
「え?それはどういうことですか?」
俺はまったく理解ができなくなっていた。
「本来は神隠しにあった場合過去に戻すのが道理らしいのですが、今回は違うということですかね」
「そうしたら香織はどうなるのですか?」
「恐らく、香織さんはこのままだと未来、今にずっといることになるということだと思います」
「!?」
俺は呆気に取られていた。
「そのままでいいのでしょうか・・・」
「でも、まだ確実にそうなるとは決まってないんです。まだ香織さんに関する史料が出てきて、過去に戻れた事が書かれていればいいんですし、戻れる方法はあります」
「そうですか・・・」
「お父さんに少し話してもらったことを思い出しまして、話してもらったときはおとぎ話程度だと思っていたのですがね・・・本当にこのまま香織さんが過去に戻れず、この歴史通りになってしまうのは少し違うような気がします・・・」
「・・・香織は戻りたいんだよね?」
「・・・はい、自分がやるべきだった巫女の仕事がありますし・・・」
香織は暗い顔で少し間を置いてから答えた。
「とりあえず過去に戻れるという選択肢をつくっておけばいいと思います」
神主はそう提案した。
「確かに、今決めないでもいいですし、過去に戻りたい時に戻れる状態にしとけばいいですものね」
俺は納得した。
「香織、それでいいか?」
「そうしましょう」
香織も納得してくれたみたいだ。
「それで過去に戻る方法はですね、鏡のかけらを集めることらしいです」
「鏡のかけらですか、まず何で鏡なんですか?」
俺は単純に疑問に思った。
「鏡は万物を映し出し、ここの神社は鏡を神様の依代にしているのですよ」
「依代とはなんですか」
俺は続けて質問した。
「依代というのは神様を山などの自然物や、鏡などの道具に招くことをいいます」
「なるほど、それでなぜ破片?」
「神様が神隠しをなさった際に未来、現在の鏡が五つに割れるのですよ。それはなぜだかわからないのですが・・・割れた鏡のかけらは本殿から消えてこの三浦半島の神社にそれぞれ散らばっているらしいです」
「それで散らばっている五つのかけらを集めると過去に帰れると」
「そういうことです、後これも大事なのでちゃんと覚えててください、戻れるのは大体三ヶ月以内です」
「え、三ヶ月しかないのですか?」
「はい」
正直理解が追いつくのに精一杯だ。
「香織は理解できたか?」
「何となくは」
「杏果は?」
「ちょっとわからないな」
数分後・・・
杏果に説明しなおした。かなりぶっとんだ話だと思うからよくわからないのは当然だ。
「それで鏡のかけらはどこの神社にあるとかは分かっているのですか?」
「三浦半島の神社としかわかっていないですね」
「結構神社あります?」
「かなりあります」
まじか・・・これを三ヶ月以内か結構きついな・・・心の中で不安に思った。
「ちなみに、五つのかけらそれぞれ、神社の本殿の後ろに置いてあるらしくて、かけらは一般人には見えないらしいです」
「それじゃあどうやって見つけるんですか?」
「おそらく、かけらを欲するものしか見えないですね」
「随分抽象的な説明ですね」
「すみません・・でも、かけらの存在を知っている湊さんたちには見えることは確かです」
「なるほど・・・・」
俺は不安な顔をした。
「大丈夫よ!みんなでいけば少しは楽になるよ!」
杏果が励ましてくれた。
「たしかにな、きびしい戦いになるけど頑張ろう!」
「頑張りましょう!」
香織もそう意気込んだ。
俺は出されたお茶を飲み干し、一息ついた。
そして神主さんに鏡のかけらがどのような形をしているかなど細かいことを聞いて、メモをとった。
数十分後・・・いつの間にか20時になっていた。
「今日はありがとうございました。それで言い忘れていたのですが、私は忙しくて鏡の破片探しは手伝えないです。本当に申し訳ないです」
そう神主は言った。
「忙しいのは仕方がないですよ」と俺は言った
「あと、かけらが見つかったり、何かあったりしたら報告してもらえると助かります」
「わかりました、報告します」
「それではみなさんよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
「「よろしくお願いします」」
神主さんと別れ、神社を出た。もう疲れたのですぐに家に帰る。駅に向かう途中の潮風が少し肌寒かった。
「ただいまー」
家に着き、今日はみんなおつかれなので夜ご飯はお惣菜をおかずにした。食べた後すぐに風呂に入り、出た後は今日聞いたことをまとめノートに書き留めた。今起きていることはいまだに信じ難く、夢でもみているのではないかとも思うほどだが現実を受け止めるしかないのだ。
とりあえず明日は学校だ。憂鬱だな・・・・