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文字数 740文字

 私はカウンター席に座った。
店の奥から店主が現れた。

「レイモンド!よく来たな!こんな僻地まで!」

彼は驚いた顔をして私の前に立った。
 私は帽子を脱ぐとカウンターに置いた。

「君のピザを食わないと疼くんだよ胃がね。
偽物のピザの香りに騙されて、何度か食べたが駄目だ駄目だ、合成品が使われていてね。
そのくせ、天然物ですなんて謳っているのだよ。まったく職人の拘りは、気位は一体何処へ行ってしまったのかねぇ〜」

と私が言うと。彼は嬉しそうに、

「最近の若い者は知らないのだよ、本物を。
彼らが悪いんじゃない。天然の意味が分からないのさ」

彼はそう言うと、ピザを焼き始めた。
私は黙っていたが、まったく注文しなくても。どんどん、ワインなどが出てくるのを、唯、
楽しげに見ていた。
 これだよこれ!
どんなに常連になっても。ここまで私の好みを知る者はいない。しかも、何一つ聞いてもいないのに、ドンピシャで私が今欲しい物を私の前に出す。
 しばらくすると店主のロベルトは、ピザを2つ私の前に出した。
いや1つは私の隣に置いたのだ。
そして、コーヒーを側に置いた。

「ボンベイは、コーヒー党だったよな」

と彼が言うと。
 ゆっくりと私の隣に、異次元からすり抜ける様に、真っ黒な大男が現れ私の隣に座った。

「有難うロベルト」

彼はそう言うと、コーヒーを飲みながら、ピザにかぶりついた。
 私は何事も無かったかの如く、彼に聞いた。

「ひょっとしたら君もバーグの悪巧みを知っていたのかね?」

 彼は、私の従順なるボディーガード。
ヒューマノイドロボットだ。
いつもは異次元に居て、私を陰ながら護衛している。 
彼はロボットだけが住む、ロボットだけの惑星で、裏切り者として処刑されるところを、私が助けて引き取ったのだ。
 彼の罪状は、人間に成りたいだった。
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