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文字数 676文字

 まったくバーグめ、まだやっているのか?
こんなもの誰も望んでいないのに。
 異次元には色が無い。
我々の知っている如何なる物理法則も、光学的常識もあてにならない世界なのだ。なのに外はまるで、古代の絵画の様な色模様だ。
 始まったのだ、異次元アーチスト、バーグの客のを楽しませると言う事で始められた、映像ショーが。

 私はどんな趣向を凝らしたのかなと、仕方がないので客席に座ると、ジュピターアーモンドをバリバリ頬張った。
 私は笑ってしまった。
いつまで経っても色の渦しか現れない。
バーグ、酒でも飲みすぎたか?
何の変化もないではないか。
 以前、彼がやった映像ショーは、先導船を途中から合流させて。色んな金属やら物質をばら撒き、異次元花火を打ち上げた。
その時は、客席の全ての客がスタンディングオベーションとなったのを憶えている。
それを超えたものをやらなければ、金持ち達には失望しか与えないだろう。

 そろそろ引退かな?あいつも。
ご贔屓にしてやったが、何処かの映画惑星にでも仕事を紹介してやろう。
ゲー星域の惑星キネマならあるだろう。
後でジョージにでもアナツウを掛けておくか。
 そんな事を思っていると、2メートルは離れた隣の髭面の男が、ブランデー片手に私の所へやって来て、助手席に座り。

「バーグの演出は落ちたな」

とニヤリとして、私の返事も聞かず同意も求めず、自分の席に戻った。
 この船でやってはならない事。
それは許可なく他の客と話をする事。
 一人旅を楽しんでいる客に、話し掛けるなど御法度だ。
私は、そんな無礼な成金野郎に愛想笑いを送り。さっさと席へ戻れと目配せを送ったのだ。
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