第7話 幸せの果実
文字数 3,814文字
一方、猪熊は、自分の価値が、低くなったことが、受け入れられず、誠を、懲らしめようとしても、一向にその見通しが立てられなくて、人知れず悔し涙を流して、周りの人達を恨んでいた。誠がそんな、猪熊を見たのが、その時が最後で、それ以来、誰も猪熊を、見ることは無かった。
いつの事だったか、誰かが、「猪熊は、退所したんって」と、誠に、話した人がいた。
誠は、「そうか」と、天を仰いで呟いた。
誠は、寂しかった、猪熊がいた頃あった、高揚感が、今の作業所「ハトさん」に無いのが不満だった。誠は、その不満を引きずりながら、少し、ウツ気味になって、作業所「ハトさん」での毎日を送っていた。
そんなある日、誠は、作業所「ハトさん」の近くの公園で、屋根のあるベンチに座っていた。見上げると、そこは梅の蕾が膨らんでいる。誠は、これからの事を考えて、ボーっと、していた。
すると、ポケットに手を、突っ込みながら、背中を、丸めて寂しそうに道を歩いている、猪熊を見つけた。猪熊もこちらに気づいたようだ。
そこで、誠は、手招きして猪熊を誘った。
すると、猪熊は、肩を怒らせて誠の所にやって来た。
「おう、誠!」
「猪熊」
誠は、猪熊にまだ力が残っているのを見て安心した。
「猪熊、ハトにこないか……」
猪熊は誠の本心が、分からなかったが、誠への復讐の機会を得て目を輝かせた。
「おっ、いくぞ、いくぞ、いくってばよ」
猪熊は、大喜びして、その申し出を受けた。
猪熊は、作業所「ハトさん」に来ると、早速、昔の仲間を集めて、誠の仲間達を脅かすようになった。
誠の意図は、そこにあった。
猪熊を、悪役に仕立てて、あの頃のあった高揚感を、取り戻すのが狙いだった。
しかし、誠の仲間達は、猪熊の出現に恐怖して、誠の元に、集まってきた。
仲間たちは、みんな、物言いたげな様子だった。
「みんなの気持ちは、分かる、少し辛抱してくれ」
「嫌だ」
そんな光ちゃんの声もあったが、「誠が言うなら」と言う、リサの一声で仲間たちは、猪熊を受け入れることになった。
でも、怖いのは、猪熊も同じだった。
猪熊も誠も、リサも、光ちゃんも、その他大勢の人達は、お互いに、プルプルと震えだした。
誠は思った。
……このプルプル感が、たまらん……
誠とその仲間達は、休憩時間に、このプルプル感から逃れるために、面白い話をしたり、カードゲームに興じたりして、その恐怖から目をそらして過ごしていた。
誠は思った。
……おっ、活性化しているぞ……
でも、時々、猪熊の嫌がらせや、破壊工作をしている事に、誠の仲間達の不満は高まっていった。
誠は、対応に苦慮していた。
すると、綾香が見かねて、誠に声をかけた。
「あなたが、猪熊を受け入れた選択を支持します……」
「?」
誠は綾香の話を怪しんだ。
綾香は続けた。
「あなたは、誰も見捨てない、強い心の持ち主だから…」
誠は、思った。
……そう言う訳ではないんだけど……
綾香は、普段の愛くるしい姿に戻って、笑顔で誠に提案してきた。
「猪熊さんと、誠さんの争いは、意見の違いからなんでしょう……」
誠は不思議そうに思いながら、綾香の言葉を聞いた。
……第三者から見るとそう見えるのか……
困惑している誠には、考えられない発想だった。
綾香は言う……。
「相手と意見が食い違う時は、敵意をむき出しにしないで、相手を、敬愛している気持ちを、言葉にも行動にも表す様に努めることが、大切なんです」
誠は反発する
……そんな馬鹿な……
誠は、今まで、相容れない相手は、罰して導く事が大切だと考えていたから、容易にその話を、受け入れる事が出来なかった。
でも、誠は、綾香の話について思うことがあった。
いつも優しい綾香のことだから、自分のうかがい知れない真実がそこにあるのだろうと思い直した。
そう思ったのは、現実的に猪熊の抵抗に打つ手が、もうなかったからなのかもしれない……。
それから、誠は、猪熊と顔を合わせると、目を合わせる事は出来ないが、目線を鼻の下あたりに付けて、にっこり微笑むことや、最低限の礼を、猪熊に尽くした……。
それに対して、猪熊の反応は、というと……。
猪熊は、「気持ち悪い」と、言って、嫌な顔をしてみたり、訝る様な顔をして不快感を露わにした。
……なんだ、コイツ……
誠は、激しい怒りを感じた。
けれど、誠は、その怒りを抑え、綾香が温かく見守る中で、誠は、綾香の言葉にしたがって、皆は仲間だという意識を、もって、誠の仲間や、猪熊や猪熊たちに、礼儀正しく振舞う努力を続けた。すると、その甲斐もあって、少しづつ、彼らとの軋轢が、改善していった。
その温かさの中で、猪熊は、色々な人に、諭される様になって……猪熊は、反発しながらも、その言葉に、耳を傾けるようになって、自分が、どんなに破滅的行動をしていたのか、という事に気づいていった。
それから、誠と誠の仲間たちは、猪熊たちを抱えながら、いつものように、漬物切りの作業を、協力してやっていた。
例外は、仲間達を、守る役目の「のぶゆん」で仲間達は、「作業をしよう」と、「のぶゆん」に、勧めない事が、暗黙の了解になっている。
悠作は、何となくこの一件の後、ポジティブになって仲間と、前より深く、学びを通して、関わるようになって、誠は嬉しく思っていた。
誠が、旗を振る、漬物切りの作業に、問題がなくなると、支援員さん達は、別の遠くのテーブル移っていった。
遠くのテーブルから、支援員さん達は、時々、彼らの様子を見ている様だ。
そこでは、6つあるテーブルの内の2つのテーブルに新聞紙を敷き、そこに、漬物切りの作業の為の材料を置いて作業をしていた。
彼らは、漬物切りの作業に加わった、新入りの仲間たちに、漬物切り作業の手順を説明していた。ただ、誠は、数ある色々な漬物切りの作業の内容を、全部知っているわけではない……。
そんな時は、昔から作業をしている、光ちゃんや、綾香に、誠は、助けを求めることが今でもある。
「この葉、腐っているんだけど、どうしたらいい?」
「これも、脇に除いた方がいいですかね?」
すると、綾香ちゃんと、光ちゃんから、「それ、使っちゃえば……」
そこで、誠は、光ちゃんと綾香ちゃんに返事をする。
「そうだね、ありがとう、そうするよ……」
誠は、そうやって、自分の分かる所は、新入りに説明して、誠の分からない所は、長年やって経験のある仲間の人達に、やり方を聞いて、説明してもらいながら、漬物切りの作業を進めていった。
そうやって、作業のやり方を説明していくと、誠は、段々仲間たちの特徴的な動きに、余裕で対応出来るようになり、相手を知らないと云う、不安が減って、安心感が生まれると、安定的に、作業の進める事が、出来る様になっていった……。
そんな様子を、猪熊が、じっと、敵対心をあらわにして、見つめていた。やがて、作業について、説明することがなくなり、もっと、広範囲な仕事の連携、例えば、ホウレンソウの「声のかけ方」の作法に、及ぶようになっていた。
彼らは、思った。
……さあ収穫の時だ……
激動の日々の後、誠と誠の仲間達は、作業所「ハトさん」の部屋の一つである、キッチンと、沢山のテーブルとイスのある、頑丈そうな白い冷蔵庫の中で、増殖して、たわわに、実った幸せの果実を、楽しそうに収穫する。
すると、皆は、両手いっぱいの果実を、作業場テーブルに押し広げた。
椅子に座って、お互いの顔を見合わせると、収穫の喜びに、思わず、皆の笑顔がこぼれる……。
すると、クロウが、「頂きます」と言って、果実を食すと、皆もそれに続いて、食べ始めた……。
それは、皆を、何とも言えない、幸せな気持ちにさせた。
そんな幸せの果実のおこぼれに、猪熊達も、皆と一緒に、ありついた……。
綾香が、誠のところに来た。
「よっかったね」
「ああ」
綾香は嬉しそうだった。
「あのね、貴方に言いたい事があるの」
「何?」
「猪熊さんはね、父親を若くしてなくしたの……」
「そうなんだ」
「私の想像なんだけど、猪熊さんは、お母さんを守る為に、あんな風になったのよ……貴方も母親を亡くしているからわかるでしょ……」
誠は、猪熊の意外な話を聞いて考えた。
「ほんとは、良い奴なのかもしれない……」
「そうよ」
そういって、綾香は、にっこり笑った。
この日、作業所「ハトさん」の皆は、幸せな、ひと時を、満喫していた……。
やがて、幸せの果実を食べ終えると、テーブルの上の食べカスを片付けて、元の作業場に戻った。
結局、誠は、ボス・キャラには、なれなかった。
癒しキャラにも、成れたのかも分からない……。
今日の作業が終わると、誠は、リサを呼んだ。
「おおー、リサぽん、帰るぞ……」
「あぁぃ!」
誠は、今日の作業を終えると、リサを載せて、車を発進させた。
光ちゃんと、悠作は、既に、家に帰っていたが、綾香に、ぞっこんの猪熊は、綾香に、キツイお灸を据えられて、渋々、綾香と、二人で、彼らを見送った。
二人が、帰る途中に、誠は、薄暗い空を見上げた。
雲が切れて、太陽の光が差し込んできた……。
「眩しい」
長い冬が終わり、梅の花の咲く頃、誠とリサは、春の訪れを感じた……。誠はリサと一緒に、その時代(季節)を、一直線で、走り抜けて行った……。
いつの事だったか、誰かが、「猪熊は、退所したんって」と、誠に、話した人がいた。
誠は、「そうか」と、天を仰いで呟いた。
誠は、寂しかった、猪熊がいた頃あった、高揚感が、今の作業所「ハトさん」に無いのが不満だった。誠は、その不満を引きずりながら、少し、ウツ気味になって、作業所「ハトさん」での毎日を送っていた。
そんなある日、誠は、作業所「ハトさん」の近くの公園で、屋根のあるベンチに座っていた。見上げると、そこは梅の蕾が膨らんでいる。誠は、これからの事を考えて、ボーっと、していた。
すると、ポケットに手を、突っ込みながら、背中を、丸めて寂しそうに道を歩いている、猪熊を見つけた。猪熊もこちらに気づいたようだ。
そこで、誠は、手招きして猪熊を誘った。
すると、猪熊は、肩を怒らせて誠の所にやって来た。
「おう、誠!」
「猪熊」
誠は、猪熊にまだ力が残っているのを見て安心した。
「猪熊、ハトにこないか……」
猪熊は誠の本心が、分からなかったが、誠への復讐の機会を得て目を輝かせた。
「おっ、いくぞ、いくぞ、いくってばよ」
猪熊は、大喜びして、その申し出を受けた。
猪熊は、作業所「ハトさん」に来ると、早速、昔の仲間を集めて、誠の仲間達を脅かすようになった。
誠の意図は、そこにあった。
猪熊を、悪役に仕立てて、あの頃のあった高揚感を、取り戻すのが狙いだった。
しかし、誠の仲間達は、猪熊の出現に恐怖して、誠の元に、集まってきた。
仲間たちは、みんな、物言いたげな様子だった。
「みんなの気持ちは、分かる、少し辛抱してくれ」
「嫌だ」
そんな光ちゃんの声もあったが、「誠が言うなら」と言う、リサの一声で仲間たちは、猪熊を受け入れることになった。
でも、怖いのは、猪熊も同じだった。
猪熊も誠も、リサも、光ちゃんも、その他大勢の人達は、お互いに、プルプルと震えだした。
誠は思った。
……このプルプル感が、たまらん……
誠とその仲間達は、休憩時間に、このプルプル感から逃れるために、面白い話をしたり、カードゲームに興じたりして、その恐怖から目をそらして過ごしていた。
誠は思った。
……おっ、活性化しているぞ……
でも、時々、猪熊の嫌がらせや、破壊工作をしている事に、誠の仲間達の不満は高まっていった。
誠は、対応に苦慮していた。
すると、綾香が見かねて、誠に声をかけた。
「あなたが、猪熊を受け入れた選択を支持します……」
「?」
誠は綾香の話を怪しんだ。
綾香は続けた。
「あなたは、誰も見捨てない、強い心の持ち主だから…」
誠は、思った。
……そう言う訳ではないんだけど……
綾香は、普段の愛くるしい姿に戻って、笑顔で誠に提案してきた。
「猪熊さんと、誠さんの争いは、意見の違いからなんでしょう……」
誠は不思議そうに思いながら、綾香の言葉を聞いた。
……第三者から見るとそう見えるのか……
困惑している誠には、考えられない発想だった。
綾香は言う……。
「相手と意見が食い違う時は、敵意をむき出しにしないで、相手を、敬愛している気持ちを、言葉にも行動にも表す様に努めることが、大切なんです」
誠は反発する
……そんな馬鹿な……
誠は、今まで、相容れない相手は、罰して導く事が大切だと考えていたから、容易にその話を、受け入れる事が出来なかった。
でも、誠は、綾香の話について思うことがあった。
いつも優しい綾香のことだから、自分のうかがい知れない真実がそこにあるのだろうと思い直した。
そう思ったのは、現実的に猪熊の抵抗に打つ手が、もうなかったからなのかもしれない……。
それから、誠は、猪熊と顔を合わせると、目を合わせる事は出来ないが、目線を鼻の下あたりに付けて、にっこり微笑むことや、最低限の礼を、猪熊に尽くした……。
それに対して、猪熊の反応は、というと……。
猪熊は、「気持ち悪い」と、言って、嫌な顔をしてみたり、訝る様な顔をして不快感を露わにした。
……なんだ、コイツ……
誠は、激しい怒りを感じた。
けれど、誠は、その怒りを抑え、綾香が温かく見守る中で、誠は、綾香の言葉にしたがって、皆は仲間だという意識を、もって、誠の仲間や、猪熊や猪熊たちに、礼儀正しく振舞う努力を続けた。すると、その甲斐もあって、少しづつ、彼らとの軋轢が、改善していった。
その温かさの中で、猪熊は、色々な人に、諭される様になって……猪熊は、反発しながらも、その言葉に、耳を傾けるようになって、自分が、どんなに破滅的行動をしていたのか、という事に気づいていった。
それから、誠と誠の仲間たちは、猪熊たちを抱えながら、いつものように、漬物切りの作業を、協力してやっていた。
例外は、仲間達を、守る役目の「のぶゆん」で仲間達は、「作業をしよう」と、「のぶゆん」に、勧めない事が、暗黙の了解になっている。
悠作は、何となくこの一件の後、ポジティブになって仲間と、前より深く、学びを通して、関わるようになって、誠は嬉しく思っていた。
誠が、旗を振る、漬物切りの作業に、問題がなくなると、支援員さん達は、別の遠くのテーブル移っていった。
遠くのテーブルから、支援員さん達は、時々、彼らの様子を見ている様だ。
そこでは、6つあるテーブルの内の2つのテーブルに新聞紙を敷き、そこに、漬物切りの作業の為の材料を置いて作業をしていた。
彼らは、漬物切りの作業に加わった、新入りの仲間たちに、漬物切り作業の手順を説明していた。ただ、誠は、数ある色々な漬物切りの作業の内容を、全部知っているわけではない……。
そんな時は、昔から作業をしている、光ちゃんや、綾香に、誠は、助けを求めることが今でもある。
「この葉、腐っているんだけど、どうしたらいい?」
「これも、脇に除いた方がいいですかね?」
すると、綾香ちゃんと、光ちゃんから、「それ、使っちゃえば……」
そこで、誠は、光ちゃんと綾香ちゃんに返事をする。
「そうだね、ありがとう、そうするよ……」
誠は、そうやって、自分の分かる所は、新入りに説明して、誠の分からない所は、長年やって経験のある仲間の人達に、やり方を聞いて、説明してもらいながら、漬物切りの作業を進めていった。
そうやって、作業のやり方を説明していくと、誠は、段々仲間たちの特徴的な動きに、余裕で対応出来るようになり、相手を知らないと云う、不安が減って、安心感が生まれると、安定的に、作業の進める事が、出来る様になっていった……。
そんな様子を、猪熊が、じっと、敵対心をあらわにして、見つめていた。やがて、作業について、説明することがなくなり、もっと、広範囲な仕事の連携、例えば、ホウレンソウの「声のかけ方」の作法に、及ぶようになっていた。
彼らは、思った。
……さあ収穫の時だ……
激動の日々の後、誠と誠の仲間達は、作業所「ハトさん」の部屋の一つである、キッチンと、沢山のテーブルとイスのある、頑丈そうな白い冷蔵庫の中で、増殖して、たわわに、実った幸せの果実を、楽しそうに収穫する。
すると、皆は、両手いっぱいの果実を、作業場テーブルに押し広げた。
椅子に座って、お互いの顔を見合わせると、収穫の喜びに、思わず、皆の笑顔がこぼれる……。
すると、クロウが、「頂きます」と言って、果実を食すと、皆もそれに続いて、食べ始めた……。
それは、皆を、何とも言えない、幸せな気持ちにさせた。
そんな幸せの果実のおこぼれに、猪熊達も、皆と一緒に、ありついた……。
綾香が、誠のところに来た。
「よっかったね」
「ああ」
綾香は嬉しそうだった。
「あのね、貴方に言いたい事があるの」
「何?」
「猪熊さんはね、父親を若くしてなくしたの……」
「そうなんだ」
「私の想像なんだけど、猪熊さんは、お母さんを守る為に、あんな風になったのよ……貴方も母親を亡くしているからわかるでしょ……」
誠は、猪熊の意外な話を聞いて考えた。
「ほんとは、良い奴なのかもしれない……」
「そうよ」
そういって、綾香は、にっこり笑った。
この日、作業所「ハトさん」の皆は、幸せな、ひと時を、満喫していた……。
やがて、幸せの果実を食べ終えると、テーブルの上の食べカスを片付けて、元の作業場に戻った。
結局、誠は、ボス・キャラには、なれなかった。
癒しキャラにも、成れたのかも分からない……。
今日の作業が終わると、誠は、リサを呼んだ。
「おおー、リサぽん、帰るぞ……」
「あぁぃ!」
誠は、今日の作業を終えると、リサを載せて、車を発進させた。
光ちゃんと、悠作は、既に、家に帰っていたが、綾香に、ぞっこんの猪熊は、綾香に、キツイお灸を据えられて、渋々、綾香と、二人で、彼らを見送った。
二人が、帰る途中に、誠は、薄暗い空を見上げた。
雲が切れて、太陽の光が差し込んできた……。
「眩しい」
長い冬が終わり、梅の花の咲く頃、誠とリサは、春の訪れを感じた……。誠はリサと一緒に、その時代(季節)を、一直線で、走り抜けて行った……。