ファッション業界と、言葉の難しさ 「ノンバイナリー」は纏えない

文字数 1,557文字

最近、ファッションと言葉に対して、思うことがありました。
私は、ファッション雑誌を読むのが好きで、BSの番組、ファッション通信やファッションショーを見るのも好きです。

ファッション業界では、現在新たな用語がたくさん、使われています。
ここ数年では、環境問題や社会問題にフォーカスして、SDGs、サスティナブル、ダイバーシティ等。

SDGs
=Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称

サスティナブル
=持続可能な

ダイバーシティ
=多様性

ファッションショーや服作りにおいても、環境や人種問題に対するテーマが多く見受けられます。
昔から、環境問題や畜産問題に配慮していたStella McCartneyや、地球温暖化やアフリカ支援をテーマとするvivienne westwood以外にも、あらゆる高級ブランド、メゾンが環境問題をテーマとしています。
現在、多くのブランドがこぞって、しきりにサステナ、サステナと言う。
それは好ましい姿勢ではあるけれど、個人的には一種の流行、ポーズとしてやっているブランドもあるような気がしていました。
(しかし、たとえポーズであったとしても、環境問題を考えることは大事だと思いました)


最近、ファッションに関する言葉として、ジェンダーに関する言葉を頻繁に見かけます。

かつては、ユニセックスという言葉をよく見ましたが、現在はジェンダーレス、ジェンダーフリー、メンズメイク等見かけます。

先週、発売された雑誌に「ノンバイナリー」という言葉が使われていました。
いつもは可愛らしいファッションの多い俳優さんが、「ノンバイナリーを纏う」として、男性的な、しかしどこか中性的なファッションをしていました。
私は、以前フェミニズムやジェンダー問題について勉強していた時期もあったというのに、
「なるほど、ノンバイナリーなファッションか。」
と、早合点して、雑誌の感想を一度SNSに書こうとしました。

あとから、ノンバイナリーについて調べてみると、「ノンバイナリーはファッション用語ではない!性自認だ。」「そんな消費のされ方は不快だ」と、当事者の方々の声をたくさん、見かけました。

ーノンバイナリージェンダー(nonbinary gender)とは、自分の性認識が男女という性別のどちらにもはっきりと当てはまらないという考えを指す。 いわゆる「第三の性」と呼ばれるジェンダークィアや、Xジェンダー、ジェンダー・オーサム(Gender awesome)と同じ意味だ。
たとえば「女に生まれたけど自分は男と女どちらの時もある」など、性別を固定しない立場をとる人々はノンバイナリーとされる。

ートランスジェンダーがどちらかの性を強く認識している人が多いことに対して、
ノンバイナリージェンダーは自分の性別を定義していないという違いがある。

(https://ideasforgood.jp/glossary/non-binary/より)



自身の勉強不足。恥ずかしくなりました。
トランスジェンダーやクィアや、ノンバイナリーを、ファッションとして「纏う」ことなど、できるはずがないのです。

と、同時に、ファッション誌やファッション業界における新しい言葉とは、下調べや入念な勉強をせず安易に使ってはいけない、消費しようとしてはいけない、と改めて思いました。
特に、ジェンダーに関する言葉は、当事者の方々がいます。
非当事者が安易に使っては、意味を十分理解せず濫用、流行らせようとしては危険です。

「ファッション」とは、もともと、「流行」を語源とします。
しかし、言葉を扱う場合、慎重にならざるを得ないはずです。
誰かを傷つける恐れのある言葉。

ファッション誌やファッション業界には、言葉により慎重になって欲しい、と感じました。
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