失われた「めちゃモテ」と Can Cam

文字数 1,503文字

 モテ。

 それは、いかにして異性、女性や男性から魅力的に見られるか、というものであった。

 赤文字系雑誌…
 Can Cam全盛期(14、5年前くらいか?)、雑誌上では

 めちゃモテ
 愛されOL
 小悪魔系女子
 勝ち組
 男のコが好きな本命デートスタイル

 などの文字が踊っていた。
 バブル期並みの貪欲さである。




 でも、茶髪くるくる巻き髪の、スタイルの良いモデルさん達はみんなキラキラしたお姉さんで、ほんとうに綺麗で憧れた。
 これは、合コンでモテ散らかしそうだ、と思った。





 最近、『フェミニズムはもういらない、と彼女は言うけれど』(高橋 幸さん、晃洋書房)
 という本を読んだ。
 この本は、とてもためになった。




 私は、第二波フェミニズムや2000年代までの研究書等は読んでいたけれど、
 ポストフェミニズムと2010年代以降の動向について、現在のネット、SNSとフェミニズムとの関係がいまいちわからなかったので、大変勉強になった。

 さて、この本の、 Can Camと「めちゃ❤モテ」ブームとの考察が面白かった。

「恋愛積極的態度が生み出す性別役割――「めちゃモテ」ブームの分析」だ。

 Can Camの「めちゃモテ」は、初めは異性意識のモテだったが、次第に自分の為のモテへと変容している、という指摘がされていて。なるほどなあと思った。
 男性が、みんながみんなモテファッションが好き、というわけでもなかったよなあ、とふと思い出した。


 そういえば、めちゃモテを体現した人が身近にいた。
 遠い記憶を掘り返した。

 私の、年の離れた姉は、 Can Camを愛読し、小悪魔蝶々さんの本をバイブルとしていた。




 だから、私は姉の読み終わった Can Camや蝶々さんの本を、中高生の時に熟読していた。

 (まあ実際の私は、エヴァとプログレッシブロックが大好きで、PINK FLOYDを聴きながらつげ義春を読んでいたが)

 当時の姉は、キラキラ小悪魔系女子大生で、
「年収○○○○万円以上の人としか結婚したくない!」
 と豪語し、T大テニスサークルに所属し、T大生を捕まえたりして、結果的にやり手社長と結婚した。
 姉の場合は、絵に書いたようなモテ意識世代だ。

 私はそんな姉や、 Can Cam、小悪魔蝶々さんの本を読んで、

 恋愛の駆け引きやめちゃモテは、側から見ると楽しそうだけど、自分には肌に合わなさそうだなあ…

 と思った。
 だから、初めは雑誌みたいな、女子アナ風ファッションをしていたが、
 やはり飽きてヒステリックグラマーやRNAやワールドワイドラブ!や、ロック系ファッションばかりしていた。

 やがて、リーマンショックがやってきた。
 そして、今、コロナ 。


 さて、電子書籍の時代。
 私は Can Camを読みながら、令和の時代はほんとうにファッション誌が自由になったものだ…と関心している。




 女の子らしく可愛いけれどカジュアルだし、爽やかだし、背伸びはしないし見栄は張らないし、等身大だ。「モテ」とか「勝ち組」とか「小悪魔」とか、1ミリも出てこない。

 ちなみに、今週発売の最新刊の Can Camは、

 いつだって、自分の殻を破るのは自分!!

 ニューノーマル時代をサバイブする、賢いお金の増やし方

 新しい日常を支える、投資コスメ&省エネコスメ

 とか特集されている。

 あの Can Camが、

 自分の殻を自分で破る?!
 省エネコスメ?!
 お金の増やし方?!

 そして、メンズメイクや、LGBTの海外セレブの写真も掲載されている。

 時代は変わる。
 モテも勝ち組も愛されOLも、形骸化した。
 令和って、やはり凄いかも。

 でもたまに、めちゃモテも懐かしくなる。
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