(二)-16

文字数 280文字

 ともかく彼は再び資料をあさり始めた。
 それにしても、彼が他人に気を配れる人間だったとは全く思わなかったので、驚いた。
 ブレザーのポケットにキャンディーを突っ込んでから理科室に戻った。
 戻るとすでに自分の席についているミコトに、「なにかあったの?」と聞かれた。
 「なんでもない」と答えたものの、「ひょっとしてあいつになんかされたんじゃない? 大丈夫だった?」などと言われた。
「さすがに何にもないよ。準備とかも全部やってくれてたし」
 そう言って私は彼にもらったキャンディーを一つ、ミコトに差し出した。そしてさらに一つ取り出すと、封を破って口に放り込んだ。

(続く)
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