(三)

文字数 301文字

 翌日、ナオミとドナルドは坪井千代を連れて、三軒茶屋駅から歩いて一〇分程のところにあるNGO法人「安心シェルター太子堂」の事務所に来ていた。
 そこは事務所といっても低層マンションの一室であった。同法人はここのマンションに数室部屋を借りていて一室を事務所として、別の部屋を緊急避難シェルターとして利用していた。
 事務所に入り、NGO代表の楢原江見と坪井千代の面談が始められた。それをドナルドが構えるカメラで撮影された。もちろん、ナオミたちの台本を渡しているわけではなく、いつもと同じように面談することになっている。
 千代の事情を一通り聞くと、江見は「では、さっそく行きましょうか」と立ち上がった。

(続く)
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