第5話

文字数 477文字

 みんな、よく眠っていた。
 テレビをつけっぱなしで鼾をかいている人には布団をかけなおし、ついでにテレビの電源も落としておいた。
 できる範囲でカレンダーを交換しておく。あまり派手な音を立てるわけにはいかないので、かかっている場所が悪いカレンダーは、そのままにしておいた。
 どんどん片手には12月のカレンダーがぺろりぺろりと一枚ずつ溜まって行った。
 
 (来年はもう少し楽な年になればいいな)
 と、思いながら最後のカレンダーを交換し、ホールに戻りながら、
 (ああ、もう来年だったんだった)
 と、苦笑いした。

 日付は変わっている。実質上、もう、2020年なのだ。

 「あっ、井川さん、仮眠してください。●●さんの様子どうですか」
 たった今、仮眠を終えて来た別グループの夜勤者が、ねぼけまなこでやってきた。
 呼吸状態はまだ変化が見られない事、今のところ何事もないことを伝えてから、わたしは仮眠に入った。

 (仮眠から明けたら、もしかしたら、●●さんは)
 一瞬、不安がよぎったが、さあ休んできてくださいと言われ、黙って休憩室に入った。
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