似た者どうし

文字数 7,661文字

フ「本当に…これで良かったのか?…アイゼン…」
妖夢「ファイナル…」
『やめて。私があなたの中にいるってことは言わないで。』
フ「…どうした」
妖夢「…なんでもない」
フ「いつまでもこうだと笑われるな。」
ゆっくりと、立ち上がる。
フ「行こう」
弱い自分はもう捨てた。
その代償が彼女を失うことだった。
それでもいい。
この手には、彼女の炎が宿っている。

エ「サクラ、入るよ」
サ「はい、どうぞ」
エ「…お、綺麗になってるじゃん。」
サ「そうでしょう!頑張ったんですよ?私。」
エ「所々雑だけどね…こことか」
サ「そ、そこは…後でやろっかな〜なんて…」
エ「それでやった事ないでしょ」
サ「それを言っちゃったらおしまいですよ」
エ「…そう?」
サ「う、うるさい!」
顔を真っ赤にして怒る。
エ「ハイハイ、わかったから…」

レミル
イ「…さて、どうしよっか」
「イゼ様。お帰りなさいませ」
イ「ありがとう。」
「今日はお客様が来ております。なんでも、エキドナ前国王の息子、だとか。半竜人と話がしたい、との事です」
イ「私でもいいの?」
「とにかく今の現状を話したいと。」
イ「わかった。私が行ってくる。」
「では、こちらへ。ご案内致します」
ついて行きながら城内を見渡す。
…少し、変わっている。
「度重なる影との戦闘、それはこの城にも負担だったようでして。今は、修復を繰り返しています。」
イ「…ねぇ、ばあば。」
「なんでしょうか、イゼ様。」
イ「ありがとうね。」
「…とんでもない。あなた様を小さな頃から見ています。これくらいはしてやらないと。」
イ「…」
イゼに限らず、このきょうだいが幼い時は数十名の世話係がいた。
その数十名の中から2人、または1人が

となる。
イゼの場合は二人いた。
今、目の前にいる老婆、テル。
そして、あの夜、幼いイゼを庇って死んだ、ジュン。
今のイゼとほぼ同い年だった。
テル「イゼ様。こちらです。」
イ「ありがとう。ばあば。」
テル「行ってらっしゃいませ。ばあばはここであなたをお待ちしております。」
扉を叩く。
「どうぞ」

イ「失礼します」
「こちらへ」
座る。
あまりここには来ないから少し緊張する。
「私はエキドナ前国王の息子、オルド・ノールです。」
イ「私はイゼ・ドラゴン。…半竜人と話がしたい、と聞きましたが」
ノール「はい。今のエキドナは…凄惨なものです。影に追い詰められ…国王の地位までも奪われた。国を出ようとするものは囚われ、処刑台に立たされる毎日。私は、何とかあの国を脱してここまで来ました。」
イ「…そうですか。」
ノール「かつて、エキドナは竜の国を救い、また、竜の国もエキドナを救ってくれました。どうか、お力を貸していただきたい。」
イ「…」
どうしよう。
私一人でどうにかできる問題じゃない。
「失礼する。ノール王子」
ノール「あ、あなたは…!なぜ…今日はもう来ないのかと…」
後ろを振り返る。
イ「兄様!?」
フ「貴殿に協力する。今まで申し出を断り続けて申し訳ない。こちらも時間が取れなかったのだ。」
ノール「ファイナル…殿…」
フ「ファイナルで良い。イゼ、後は俺がやる。よくやったな」
イ「兄様…」
フ「もう少し、頼りにしていいんだぞ?」
イ「うん…」
ノール「ファイナル殿…本当にありがとう…」
フ「それで、もう少し詳しく聞きたいのだが…」

テル「イゼ様」
イ「ばあば…」
マイン「…イゼと…誰だっけ…?」
テル「テル、と申します。マイン様」
マイン「…様はやめて欲しいな。でも…悪くないね」
イ「どうしたの?急に」
マイン「この前のやつさ。あの地獄のような景色は間違いなくレミルのもの。それを調べに行こうかと思ってね」
イ「私も行っていいかな?」
マイン「構わない」
テル「…あの場所へ行かれるのですか」
イ「…」
テル「ご無事を、祈っております。」
イ「うん。じゃあ、行ってくるね、ばあば」
テル「行ってらっしゃいませ…」

マイン「…この辺りだね。」
イ「あっつ…なにここ…」
マイン「炎が吹き出してるのか…っ!危ない!」
イ「え?ふあっ!?」
立っていた場所から火柱が立ち上がる。
マイン「想像以上に酷いな…」
「大丈夫ですか〜!」
イ「あ、あの人って…」
マイン「…ああ、あの人か」
ロウセツ「はぁ…ふぅ…やっと追いつきました…」
イ「もしかして、ここを?」
ロウセツ「はい。この辺り一体を凍らせれば収まるでしょう」
マイン「天候まで変わるけど…まあいいか。ここは元々『灰の大地』って言われるほど何もなかったし。任せるよ、ロウセツ。」
ロウセツ「はい。では…せぇい!」
イ「おお…おおお…」
地面が凍っていく。
ロウセツ「っく…流石に響きますね…」
マイン「よくやったよ。これで大地が焼き尽くされることは無くなった…はずだよ。うん。」
イ「…ホントに大丈夫?」
マイン「僕が知るわけないだろ…」
ロウセツ「ですが…燃え上がったのは灰の大地の半分ほど。またここも数週間すれば元通りになるはずです」
マイン「それはそれでいい。」
ロウセツ「私はこれで失礼しますが…おふたりは?」
マイン「僕はもう少し」
イ「私も」
ロウセツ「そうですか。それでは。」
マイン「…怪我はなかったかい?」
イ「ううん。ありがとね。」
マイン「…さて、僕は行くよ…」
イ「待って!」
咄嗟に手を握ってしまう。
イ「…もう少しだけ、一緒にいて…」
人の温もりに飢えている。
かつての僕と同じように。
マイン「僕でよければ」
イ「…ありが、とう……」
イゼの涙がマインの腕を濡らす。
せめて、僕のようにならないように。
マイン「イゼ。こっちにおいでよ」
泣きじゃくるイゼ。
優しく抱き抱えるマイン。
マイン「ほら、僕はここにいる。ずっと、そばに居るよ。」
イ「…マイン……」
マイン「何も言わなくていい。ただ、体を預ければいいんだ。」
ずっと、求めていた。
人の温かさを。
こうして欲しかった。
きょうだいや、友人でもない。
両親に。
でも、それは叶わない。
自然と、父親とマインを重ねてしまう。
この人は違う。でも…
それでいい。
イ「…マイン」
マイン「イゼ…」
イ「…私、好きになっちゃった。」
マイン「っ…!」
イ「ねぇ…いいよね…?…マインの愛に溺れたいの…」
マイン「…溺れさせはしない。」
イ「なんで…?」
マイン「…僕が引き上げるからさ。」
イ「……えへへ。」
マインに体を預ける。
マイン「…君を愛そう。」
石が水に落ちる。
その水は石を包み、一生離さない。
水が枯れるまで──。

ノール「ファイナル殿…?」
フ「………」
エキドナの現状を伝えきった後、
『少し、考える時間をくれ』
と言った。
それからもう15分が経とうとしている。
ファイナルは視線をこちらへ向けるだけで何も答えない。
フ「…仕方ないか。」
ノール「ファイナル殿?」
フ「影をできる限り削る。近い内に影に対する大規模戦闘を仕掛ける」
ノール「それでは…こちら側にも犠牲が…」
フ「奴らならゼロだけで十分だ。ボルグやマークには引き続き警戒を頼む」
ノール「…ファイナル殿、私はどうすれば…」
フ「近くに宿屋があります。そこをしばらく貸して貰えますから、そこで。」
ノール「…感謝します」
フ「今日はこの辺りで終わりましょう。また後日。」

レグルス「お疲れ様でした」
フ「ゼロ部隊を全員集めろ。今すぐだ」
レグルス「はっ。」

フ「……」
椅子に座り、その時を待つ。
力丸「待たせたな、

。」
フ「相変わらず早いな」
力丸「今日はなんの会議だ?」
フ「…エキドナ。」
目の色が変わる。
力丸「…ほう。ついにか」
フ「その前にやる事がある。」
ジェイ「すまない、少し遅れた」
フ「まだ人は集まっていない。」
ジェイ「わかった…もう少し待っててくれ」
部屋の奥へと歩いていく。
力丸「…で、やることってなんだよ」
フ「影に対する宣戦布告だ。まずは奴らを叩く。」
力丸「なるほど。エキドナの影を減らすのか」
フ「ああ。辛い戦いになると思うが…頼めるか?」
力丸「任せろ。ゼロ部隊はその為にある、と言っても過言じゃねぇからな」
エ「兄さん!」
フ「どうした」
エ「奴ら…攻めてきた!」
フ「…なに?」

影「レミルを攻め落とす!かかれ!」
影「奴らを全員殺せぇ!」

ボルグ「…来おったか。」
マーク「はは…全く、ちっと数が多すぎじゃないか?」
キャメノ「どうしましょう…私達だけで…」
ソル「いいや。出来る。」
フ「ボルグ、マーク、キャメノ。準備はいいか?」
ボルグ「ファイナル君…」
マーク「ファイナル…お前って奴は…!」
キャメノ「司令…!」
フ「…皆の無事を祈る。我らに刃の祝福を。」
それだけ言って飛び出していく。
キャメノ「司令!」
マーク「キャメノ。俺らも急ぐぞ」
キャメノ「はい!」

フ「っと…さて、始めるか。」
影「うぉぉぉぉ!」
フ「久々だな…」
本当に久々だ。
フ「溜まりに溜まったこの

をぶつけれる…!」
覚醒憑依!
フ「灰も残してやらねぇからな」

ロ「っち…こいつら急に…」
ボルグ「ロッキー!」
ロ「お…ボルグか」
ボルグ「手伝うぞ」
ロ「手伝うっつっても…お前自分の部隊はどうしたんだよ」
ボルグ「ほほ。彼等ならわしが居なくても戦える。」
ロ「…そういうものかねぇ」
ボルグ「そういうものだよ。さぁ、行くぞ!」

エ「兄さ…ってもう本気だね…なら俺も」
覚醒。
エ「うおらぁ!」
イ「ま、待ってよ兄様!」
同じく覚醒。
エルゼ『ええい鬱陶しいですね!ファイナル!』
フ「っはぁ!」
振り払う。
黒き刃は影を切り裂き、焼き尽くす。
エルゼ『まだまだですよ!』
フ「失せろおおああっっ!!」
イ「甘く見ないでよ!」
エ「行くよ!」
2人のコンビネーション。
正に斬撃が


マイン「僕からのプレゼントだ!受け取れ!」
黒雷が落ちる。
マイン「頑張れよ、イゼ。僕はファイナルと一緒に戦ってくる」
イ「うん!マインも気をつけて!」
マイン「ああ。」
エ「…いつの間にあんな仲良くなったんだ?」
イ「うーん…ついさっき、かな」
エ「…へぇ。」
イ「ある意味似たもの同士だよ。私達って。」
エ「…俺もたまに思うな。」
イ「ほら、兄様。今はそれよりも大事な事があるでしょ!」
エ「…おっと。そうだった。」
イ「ここは通さないよ!」
エ「かかって来な!

が相手になってやる!」

フ「クク…」
笑えるな。
たった1人に…
これほどまで苦戦するとはな。
フ「殺してやる…!」
溢れる殺意はもう抑えきれない。
フ「『黒炎』…!」
影が怯む。
マイン「やあ。」
フ「お前なんざ呼んでねえっての」
マイン「良いじゃないか。」
フ「俺の邪魔はするなよ」
マイン「その言葉、君に返すよ」
フ「散れえぇっ!」
マイン「斬り裂いてやる!」
滅多斬り。
マイン「消えろ!」
周囲に雷を落とす。
マイン「僕を殺せると思うなよ。」
にしても…
フ「逃げるなよ?戦場(ここ)に来た以上、運命はふたつにひとつ!

だアっ!」
すっかり暴走してるな。
マイン「僕がカバーしてやらなきゃね。」
影「はあっ!」
マイン「甘いね」
影「うごお…っ」
マイン「ち…やっぱり多いな」
結晶が浮かぶ。
マイン「結晶化が使えるのは…ファイナルだけじゃない。もっとも、僕のもただの副産物なんだけど、さ。」
マインの周りに5個。
マイン「『ブレイク』!」
結晶が弾け飛ぶ。
破片は影に突き刺さるか、地面にぶつかって砕ける。
マイン「幕切れにしよう。」
刀が黒雷を纏う。
マイン「雷刀黒雷…この刀の本当の力を見せてやる…!」
目にも止まらぬ速さで駆け抜ける。
黒い閃光だけが見える。
マイン「…終わり」
納刀する。
それと同時に斬った影に雷が落ちていく。
マイン「…」
視線はファイナルの方へ。
マイン「行こう。あいつが手遅れになる前に…」

目に映るものは全て斬り捨てる。
満たされぬ心。
理性などとっくに狂っている。
死になど、怯えはしない。
もっと、もっとだ。
血を見せろ。
まだ、斬り足りない。
満足出来ない。
フ「ううあああ!」
エルゼ『ファイナル!しっかりしなさい!』
エルゼの声すら聞こえない。
ひたすら目の前のものを斬り続ける。
マイン「ファイナル!」
ギロリ、と睨まれる。
狂った瞳が次の獲物を捉えた。
マイン「止めてやる…来い!」
これは…
僕なりの、恩返しだ。
フ「らぁ!」
マイン「うぐ…っ」
弾いても反動が凄まじい。
あいつも限界のはずだ…
一撃与えられたら、それでいい。
マイン「せいやっ!」
フ「っ!…すまない…手間を…かけたな」
マイン「…大丈夫だったかい?」
フ「…馬鹿だな。」
マイン「?」
フ「奴らを相手になると…自分すら捨てるのか、俺は。」
マイン「…悪いのは君じゃない。あいつらはやりすぎなんだ。」
フ「理屈ではわかってても…体が否定する。何かと理由をつけて分かろうとしない。」
マイン「…前の僕みたいだ。」
フ「…似たもの同士、ってか。」
マイン「かもしれないね。」
笑みがこぼれる。
マイン「立ちなよ。みんな、待ってるから。」
手を差し出す。
その手を握り、ファイナルが立ち上がる。
フ「戻るか。」
マイン「ああ。」

妖夢「…大丈夫かな、みんな。」
アイゼン『大丈夫だよぉ!影なんかに殺されはしない!』
妖夢「…そうだよね。」
アイゼン『ファイナルはちゃんと子供の頃の自分と決別してる。まるで別人だけど…隙間から零れる感情とか、素顔とかは昔のまま。』
妖夢「……」
アイゼンの記憶がフラッシュバックする。
まるで紹介されているように。
アイゼン『あ…ごめんね。変なもの見せちゃった』
妖夢「あれが、ファイナルの?」
アイゼン「…そう。可哀想だったでしょ?」
暗い部屋に1人。
隅に座り、ただ一日を過ごす。
時折、腕を刺して血を流す。
その度に腕は白くなる。
アイゼン『私との出会いは、ファイナルの過去との決別の第1歩、だったのかもね。』
妖夢「…」

エ「おかえり、兄さん。」
肩を持ち、声をかける。
フ「…不甲斐ない兄ですまないな」
エ「俺はそうは思わないな。俺は兄さんが兄さんでよかったよ。」
フ「…そう言ってくれると、助かる」
エ「俺も、イゼにとっても、兄さんは大事な存在なんだ。嫌ってなんかいない。」
フ「…そうか」
マイン「……」

キャメノ「司令!」
マーク「やめろ。今は駄目だ。」
キャメノ「でも!」
ボルグ「やめておけ。」
キャメノ「司令は…たった1人で戦ったんですよ!たった1人で…私達の隊が無傷で済んでいたのは…司令がその分を負担していたから…!」
ボルグ「やめんか!」
キャメノ「っ!」
ボルグ「あれは彼の意思だ。彼の過去は彼奴等と深く関わっている。それだけ、憎んでいるのじゃろうて。」
キャメノ「司令の…過去?」
ボルグ「詳しく知りたいのなら彼の家族に聞くといい。」

ソル「…よくやってくれた」
フ「…この程度。どうとにもなります。」
ソル「まずはゆっくりと休んでくれ…」
フ「まだですよ。次はエキドナへ」
ソル「死にたいのか!」
フ「俺一人の命が消えた所で何も変わりませんよ」
ソル「君は…お前はどうしてそこまで…!」
フ「…奴らへの、

。それだけです。」
ソル「…!」
フ「それでは」
バタン。
ソル「…半竜人、恐ろしいものだ。」
来た時は2人がかりで座ったというのに…
出る頃には自分で歩けるほど回復している。
ソル「ファイナル─お前は一体誰のために死ぬ?主君か?それとも家族か?」

力丸「おう。来たな!」
フ「次はもう決まってるのか?」
力丸「つぎはゼロだけの勝負だ。…最悪、誰かが死ぬだろうな。」
フ「この部隊(ゼロ部隊)にいる以上仕方の無いことだ。」
ジェイ「いつでも死ぬ覚悟は出来ている」
フ「その通り」
エ「……」
力丸「たとえ死ぬとわかっていても、俺達は戦う。死の運命に抗い、生きていく。それが俺達ゼロだ」
フ「死ねばそこまで、生き残れば次の地獄へ進むのみ。」
ジェイ「…だな。」
力丸「…また明日、ここでもう一度集まろう。」
フ「分かった」

エ「兄さん…」
フ「どうした。俺はもう眠いんだが」
エ「俺は…兄さんに死んで欲しくないんだ」
フ「どこにも行かねぇよ。」
エ「…それでも、死体は喋らない…!」
涙が頬を伝う。
フ「…お前も来るか?」
エ「え…どこに?」
フ「一緒に寝るか?」
エ「…兄さん」
フ「でも、静かにな。イゼも寝てるんだ」
エ「…」
イ「すー…はーっ…」
フ「心配するな。お前達を置いて逝ったりなんかしないからよ。」
エ「兄さ…」
フ「…で、どうだ。来るか?」
エ「…今日はいいよ。」
フ「そうか。おやすみ、いい夜を。」

力丸「…遂に始まるのか」
ジェイ「…死地は何度も体験してる。だけど俺は…この前日の夜がいつまでたっても怖いんだ。」
力丸「誰でもそうだろ。俺もそうだ。」
ジェイ「…この槍で貫いた敵に、つい情が移ってしまう。」
力丸「残酷だよな。」
ジェイ「…俺は…ゼロに入って良かったんだろうか?」
力丸「…」
ジェイ「…考えるだけ野暮か。」
力丸「だったら尚更、なんで生きてんだ?」
ジェイ「力丸…」
力丸「そんなに気弱だったら1人で死んじまえばいい。それでもお前は死んでいない。それは俺達といるのが少なからずお前にとって楽しい時間であるから。違うか?」
ジェイ「…かもしれない。あいつが幻想郷にいる時も、力丸達と4人でいた頃を重ねてしまう。」
力丸「誰だって弱さはある。それをどうやって乗り越えるかで、人の強さは無限に広がっていくんだ。」
ジェイ「…」
力丸「…昔、ファイナルが言ってた事だ。」
ジェイ「ああ…覚えている」
あの日も大きな戦闘の前だった。
『俺…もうダメかも』
『馬鹿。じゃあなんで降りなかったんだ』
『それは…』
『お前が俺達をどう思ってるかなんて知らないけどな。俺はお前の事をそんな奴だとは1度も思ったことは無かったぞ!』
『…!』
『いいか。人には皆心のどこかに弱さを持っている。その弱さをどうやって乗り越えるか、どんな風に乗り越えたのかで、人はどこまでも強くなれる。それこそ、無限にな。』
あいつは弱さを乗り越えた。
その時の感情が、あいつに強さを与えた。
次は、俺が乗り越える番だ。
見ててくれ、力丸、ファイナル!
俺はもう迷わない。
俺は…お前たちと共に…!
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