1.フィンランド叙事詩『カレワラ』
文字数 948文字
これは岩波文庫から出ている『カレワラ』という本だよ。フィンランド各地でカンテレ(竪琴)に乗せて歌い継がれてきた叙事詩がある。それを19世紀初頭、エリアス・リョンロートという学者が収集したものなんだ。そして言語学者の小泉保(こいずみたもつ)が日本語に翻訳したのさ。
ただし、リョンロートの『カレワラ』には彼自身の創作が含まれているんだ。それはバラバラに散らばった民間の詩を繋ぎ合わせるためでもあった。「ニエミ(A.R.Niemi)はリョンロットの自作した部分は全体の五%」と推定しているらしいけど、どこがそうなのかを見出すことは困難だ。慎重に読み進める必要があるだろうね。
さて見事詩歌を歌ってみよう、美しくも響かせてみよう ライ麦のパンを食べてから、大麦のビールを飲んでから。たとえビールが出なくても、作りビールでもてなさなくても、乾いた口で歌ってやろう、水を飲んで歌ってみよう 我ら今宵を喜ぶために、気高いこの日を讃えるために、または明日を楽しむために、新しい朝が始まるために。(序詞より)