第6話 完結
文字数 537文字
それからしばらく経ったある日。
閑古鳥の鳴く店に戻った白龍ラーメンに、再びアキラがやってきた。待ってましたとばかりに顔をほころばせた古賀は、手際よくラーメンを作り出す。
「お兄ちゃん、すっかりお客さんがいなくなったね。まあ、その方が白龍ラーメンらしくていいけど」
アキラは携帯を取り出し、素早く指を動かす。
「ほら、グルメサイトの『食いログ』の評価も駄々下がりだよ。みんなゲンキンだね」
「あのな、お兄さんは最初からそんなものは気にしていないんだ。この味を喜んでくれるお客さんがいる限り、意地でも続けるさ」
とは言ったものの、全力ラーメンで貯めた軍資金はとうに尽きていた。今後の見通しはさっぱりで、不安だらけだったが、それにも増して軽やかな気持ちでいっぱいだった。
ラーメンをカウンターに乗せると、アキラはいつものように頂きますを言うと、割り箸を勢いよく割った。
「うん、やっぱりこの味が白龍らしくていいよ。でも……」不意にアキラは口ごもる。
「おい、アキラ。一体どうした。今日の出来は不味かったか?」
「そうじゃないけど……」
箸を止めてコップの水をひと口飲むと、アキラは無邪気な笑顔を浮かべながら、渾身の一言を放った。
「やっぱり全力ラーメンの方が美味しかった。今度また作ってよ!」
閑古鳥の鳴く店に戻った白龍ラーメンに、再びアキラがやってきた。待ってましたとばかりに顔をほころばせた古賀は、手際よくラーメンを作り出す。
「お兄ちゃん、すっかりお客さんがいなくなったね。まあ、その方が白龍ラーメンらしくていいけど」
アキラは携帯を取り出し、素早く指を動かす。
「ほら、グルメサイトの『食いログ』の評価も駄々下がりだよ。みんなゲンキンだね」
「あのな、お兄さんは最初からそんなものは気にしていないんだ。この味を喜んでくれるお客さんがいる限り、意地でも続けるさ」
とは言ったものの、全力ラーメンで貯めた軍資金はとうに尽きていた。今後の見通しはさっぱりで、不安だらけだったが、それにも増して軽やかな気持ちでいっぱいだった。
ラーメンをカウンターに乗せると、アキラはいつものように頂きますを言うと、割り箸を勢いよく割った。
「うん、やっぱりこの味が白龍らしくていいよ。でも……」不意にアキラは口ごもる。
「おい、アキラ。一体どうした。今日の出来は不味かったか?」
「そうじゃないけど……」
箸を止めてコップの水をひと口飲むと、アキラは無邪気な笑顔を浮かべながら、渾身の一言を放った。
「やっぱり全力ラーメンの方が美味しかった。今度また作ってよ!」