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文字数 737文字

 確かに!ではあの同窓会も夢だったのか?
何と言う事だ。
俺は同窓会から夢を見ていたのか。

「お前、恵の事好きだったろ、昔から。
お前は、恵が来るから同窓会に出てたもんな」

 そうだ告白しなかった後悔から、いつも恵に会いたいが為に、同窓会に出ていたのだ。
たとえ会社を休んででも。
町村さんが、

「あなたも意識がないって聞いたから。
お葬式で皆で、斉木君を連れて行かないでねって、お祈りしたんだから。
そしたら、意識が戻ったと連絡があって、
慌てて来たのよ」

と言った。
 俺は恵との夢を思い出していた。

「幸せになってね」「そろそろゆかなくちゃ」
「それはどうかしらね」

 ま、さ、か、俺は夢の世界で、精神世界で
恵と会っていたのか?!だから、永遠にデートは出来ないって言ったのか!
俺は涙が溢れていた。
 皆は、あまり長居をしては身体に毒だからと帰っていった。

 俺は一人になって考えた。
恵は俺に会いに来たのだろうか?
ならば何故、昔の思い出に連れて行き、フッたのだろうか?
 もし上手く付き合う事が出来たら、
俺はあの世に連れて行かれたのだろうか?
 だが俺は告白する事で、恵に対する気持ちを振り払う事が出来た。
恵は最後まで、俺の事を好きだとは言わなかった。それが彼女の優しさなのだろうな。
そう思う事にした。

 そして俺は、退院して恵との約束通り。
美幸と結婚して幸せな生活を始めた。
プロポーズの時、フラれるかもと思ったが。
俺は後悔したくない!
とプロポーズを美幸にした。
 恵が俺に勇気と命を与えてくれた。
と今も信じている。
 そして、彼女との思い出は、悲しく辛いものではなく。思い出せば、ほんのりと心が暖まるものに成っていた。
 それが、何よりも嬉しかった。

 終わり。


 平成29年3月14日初稿
 令和5年12月7日加筆修正。
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