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文字数 590文字

 目が覚めると病院のベッドの上の様だった。
俺は救急車で運ばれたのだなと思った。
傍には、お袋が俺の手を握って、心配そうな顔をして座っていた。
そして、ナースコールのボタンを押した。

「やっと帰ってきた」

お袋は、涙ながらにそう言った。
 俺は事の次第が分からなかった。
喫茶店で倒れたのだろうと思って、何気なく
部屋を見回すと。
カレンダーの日付を見て愕然とした。
 2023年3月15日とあった。
その前が、何日かペンでばつ印がしてあった。
 戻ったのか・・・、俺は現代に。
そんな事を思っていると、看護師さんと意外な事に。別れた筈の美幸が、血相を変えて部屋へとやって来た。
 そして、俺が気が付いたのを見ると。
お袋と手を取り合って泣いていた。
お袋は気を利かせたのか、電話をしてくると、病室から出て行った。美幸は、

「ごめんね、ごめんね、私が悪いの」

を繰り返した。俺はボーッとしていて、何が何だか分からなかった。
 話によると、俺は美幸と喧嘩して道に飛び出し、バイクにはねられたのだそうだ。
身体は大した怪我はなかったが、頭を強く打って手術をしたのだそうだ。
俺は5日も意識が戻らず。お医者さんからは、覚悟しておいて下さいとまで言われたそうだ。
 美幸は会社を休み、お袋と二人で交代交代に俺を看病していたのだ。

 あれは・・・夢だったのか・・・。
確かに長い夢だった。
5日も寝ていたのだから、当然か。
そんな事を思った。
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