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文字数 702文字

 翌日、病室で俺は曖昧な記憶を、美幸に教えてもらいながら確認をしていた。
いくつかは憶えていなかったが、確かに美幸とは別れていないのに気が付いた。
 何で別れたと思ったのだろう。
喧嘩したからか?などと納得していると。
 病室の扉が、ガラガラと開き。黒い服を着た面会者が現れた。
有田、村下、町村さんだった。
女の人は町村さんだけ、後の2人は男。
3人とも中学の同級生だ。
そして同窓会の幹事だ。
 何でこいつらがと思っていると美幸が、

「あなたの携帯に着信があったから。
私が代わりに、用件を聞いたの」

と言った。そうか同窓会か?
それにしても、この間やったばかりだろうに、と3人の黒服に俺は、

「おい、誰かの結婚式の帰りか?」

と聞いた。だがそんな雰囲気ではなかった。
俺は分かっていながらも、わざと、

「まさか俺が死んだと思って、葬式の格好してきたんじゃないよな。残念、生きてるよ」

と冗談を言った。誰かの葬式の帰りだとは、
直ぐに分かったのだが。
何故、その格好のままでと思ってはいても。
誰なのかは、何故か聞きたくなかった。
 それでも、黙り込んだ3人に、

「誰が死んだ?」

と聞くと。
 美幸が立ち上がり、電話をしてきますと気を利かせて部屋を出た。
 女の町村さんが、

「驚かないでね。佐藤さんよ、恵。死んだの。
白血病で昏睡状態に成って。
意識が7日も戻らず。昨日、死んだの。
今日、お葬式だったのよ」

「恵が・・・死んだ」

俺は何故か驚かなかった。
それに、衝撃でもなかった。

「へぇー、この間の同窓会では元気そうだったのにな。人は分からないな」

と言うと有田が、

「お前、いつの同窓会を言っている。同窓会は今年の8月だぞ、今は3月だ。大丈夫か?」

と言われた。
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