異世界への入り口

文字数 2,927文字

早朝 住宅街は霞んだ朝を迎える。

朝6時に起床した高校生「蒼井 晴人 (あおい はると)」は一戸建てに住んでいる。

父親の新聞を取りにポストを見てみると一通の手紙が届いていた。

そこには…

『招待状 あなたを異世界にご招待します。』

っとたった一言書かれている。


宛先は『秋葉原の路地裏』からだ。


封筒の中にもう一枚の紙が入っており、それは異世界に行ける地図らしき絵が書かれていた。

絵は雑で、まるで小学生が書いた夏休みの絵日記みたいな感じだ。


手紙を見た晴人はどうせ小学生のイタヅラだと思い手紙を持ったまま家に戻り朝食を取ることに。


朝食はいつも晴人1人で食べている。

父親は海外へ転勤に行っていて書斎は晴人が置いた新聞だらけだ。

母親は過去に事故で亡くなっており妹は徹夜でゲームをしている引きこもり。


晴人は朝食を食べながら考えていた。

秋葉原の路地裏ってなんだろう…

スマホで検索するといろんな情報が書かれている。


”異世界に行けるらしいよ。”

”窓口って聞いたことある。”

”それって都市伝説だよね?”


匿名掲示板によると秋葉原の路地裏は異世界に行ける窓口らしい。

ネットの情報は本当かデマかはわからない。


晴人はふとテレビを見た。

おめでとうございます。一位は獅子座のあなた。

”何事も行動することが一番。"

ラッキーカラーは青色です。

朝7時の占い。

晴人は8月生まれの獅子座で占いを信じる。

んじゃ学校帰りにでも行きますか!
晴人は地図に描かれた秋葉原の路地裏に放課後行くことにした──。
<秋葉原>17:30

歩行者天国は人が多く賑やかだ。

この辺かな〜?

地図周辺をウロウロしていると目の前に青色の小さな子猫が横切った。

猫は入り組んだ狭い道を通って行った。


晴人は猫好きな為、跡を追いかけてみる──。

すると、目の前から白い光が輝きとっさに目を隠す。

しばらくして目を開けると、そこには──


広大な敷地で緑豊かな芝生が風を揺らし居心地の良い空間だ。

少し先には大きな街が見える。

ここが異世界…

初めての出来事で戸惑いながらも歩いて街へ向かう。


街の入り口の大きな門を潜ったその瞬間!


『シャリン…』と鈴のような音が聞こえた。


目の前を見ると…

現実世界にいた小さな子猫が妖精のように浮いている。

僕の名前はネキャット!

明るく可愛い声をした妖精猫は支配人だ。


“ネキャットは晴人にこの世界のことを話した。”


街のド真ん中にそびえ立つ大きな塔は狩猟型サバイバルの『アステール』と言われていて様々なハンターさん達が日々上層階を目指しモンスターと戦っている。

上に行けば行くほどモンスターは強く報酬金額も大きい。

みんなは何で上層階を目指すの?
願いが叶う石『エテレインストーン』を手に入れるために目指しているニャ
願いは何でも叶うのか?
もちろんニャ
…よし!決めた!!!

こうして晴人は秋葉原の路地裏という異世界でサバイバル狩猟を行うのだが……

俺、制服だし武器も持ってねぇーーーー!!!!!

と大声で叫んだ…


異世界へと来てしまった晴人は上層階にある赤く透明でダイヤの形をした『願いが叶う石:エテレインストーン』を手に入れるため冒険を始める──。


異世界の支配人であるネキャットは晴人にステータスが書かれた一枚のカードを渡した。

これはチミのステータスカードニャ!

異世界で活躍するハンターはみんなステータスカードを持っており、

階層ボスを倒すと報酬や経験値ポイントが手に入ったり、

階層掲示板ランキングと言って階層ボスを倒すと獲得できるEXP(ExcellentPoint)

でランキングの上位を目指すことができる。


EXPはハンターのステータスカードをアップグレードできるポイントでもあり、

初心者ハンターの始まりはダンボール型カードでとてもダサい。

なので頑張ってEXPを獲得しランキング上位も目指し素晴らしいハンターさんにチミもなるのニャ

ネキャットは晴人に異世界ハンターの事を伝えダンボール型のステータスカードを渡す。


カードを受け取り裏に何か書いてある…


俺はごく普通の高校生でスポーツは下手で勉強は中の下、

クラスメートの女子だけにはなぜかモテるんだけど彼女歴はゼロ。

これが俺の自己PRかよ…

なんか情けないわ…

こんな俺でも上層階に行けるのか!?

晴人は自分のステータスに自信が持てずネキャットに尋ねた。
自分を信じるニャ

明るく励ますように言ってくれて晴人の肩を”ポンッ”と可愛く叩いた。

そして上層階にいく自信が出たのだ。

よし、行くか!!!

晴人は上層階に行く前にいろんなお店を回り歩く。

ボロ防具屋に行き自分に合う装備を見つけるが、一番安いので皮の装備一式10万コルという高額な名札が掛けられている。

俺の所持金は...0か...

自分自身の財布を見てガッカリした表情を浮かべる。

これじゃあ装備を買うどころか食事もまともに買えない。

初期装備などの支給は一切無し。

晴人は心の中でぼやいた。

(ゲームだったらギフトボックス的なのがあるのにな〜)

装備は今着ている制服で行くしかないか…

ブツブツ独り言を言いながら街の商店街を歩き、ボロ武器屋へ行く。

「戦う武器が無いと始まらないよな!」と言いながら店内に入る晴人

いらっしゃい…

そこには古臭い武器屋でおじいちゃんが一人で店をしている。

武器は”古い大剣”と”古い大刀”と”古い弓矢”の3種類しか無い。

名札を見てみると全部1万コルだった。


1万コルか…買えないな…
おや…?あんたはビギナーハンターさんかね?
はい!そうですが…
古臭い武器屋のおじいちゃんが晴人の目をジッと見つめながら話しかけてくる。
あんた…良い目をしとるのぉ…真っ直ぐな瞳で輝く星みたいに…
おじいちゃんは突然、昔の話をした。
──ワシが昔ハンターの頃は、ようダンジョンしたもんじゃ…。

異世界でのサバイバル生活を行いアステールの最上階120階層まで仲間と目指したもんじゃ。

だが未だかつて最上階層のボスを倒したものはおらず。

ワシらのチームが一番最強で70階層まで…。

ボスが強すぎて帰還し解散してしまったんよ…。

願いが叶う石:エテレインストーンが手に入ったら、『一生健康でおりたい。』みんながそう思っていた。

最近の若ハンターはお金目当てで目指す奴らが多く、命を落とす子もった。

“ワシは仲間を大切にしてほしい。” そう思っているのじゃ…。

だが、あんたは仲間を守れる目を持っておる。

だから──この剣に捧げ約束してほしい。


『最上階層のボスを倒し素晴らしい英雄になると。』

おじいちゃんは涙目で過去の自分自身の経験談を語った。


古臭い武器屋を営んでるんじゃが、

これら全て過去に使っておった武器たちなんじゃ…。

この古い大剣は昔、ワシが使っておった武器じゃ…。


よかったら使っておくれ!

期待しておるぞ青年!

おじいちゃんは晴人に古い大剣を渡した。


晴人はふと思う──


母の死が原因で引きこもりとなってしまった妹を異世界に連れてくることによって、

妹の元気な姿が見れる…


エテレインストーンで母を生き返らせることができるなら…。


俺は妹を異世界に連れて行く!!!

晴人は古い大剣を手に入れ、

異世界に妹を連れて一緒にアステール最上階層を目指し

願いが叶う石:エテレインストーンを手に入れて母を生き返らせると決意した──。

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