泥棒少女
文字数 1,642文字
10階層のボスを倒した晴人のギルドは新たなる階層へと向かう。
だがボスを倒した直後──。
晴人が突然、倒れてしまった。
状況が把握できないロゼッタは晴人を背負い、12階層にある村へと向かうことにした。
そこには小さな村がありハンター達の休憩所としても使われている。
モンスターが現れない安全地帯だ。
ロゼッタは晴人の身体を見てもらえそうな所を探し回ることにした。
すると突然、奥の方から誰かが走ってくる──。
徐々にロゼッタの方へと向かってくる。
周りの住人や街の人達は騒然としている中、猛スピードでやって来たのだ。
走ってきたのはベージュ色のショルダーバックを担ぎ、
中身はパンパンに入っている背が小さいオレンジ色のショートヘアの少女だ。
クタクタになりながら叫んでいるおじさんが大声を出しながら走ってきた。
すると謎の少女はまるで忍者かのように家の壁や塀を走り回って逃げ去っていった──。
ロゼッタはクタクタのおじさんの話を聞くことに。
何があったかと言うと…
クタクタのおじさんは小さな家で病院を経営している。
患者の容体を見たり薬などの販売も行っている12階層の村の唯一の病院とのこと。
謎の少女は薬を奪い逃げ去って行った。
被害がこれで3回目らしい。
ロゼッタは晴人の容体を見てもらう為、おじさんの家へと向かうことにした。
だがしかし──。
見た感じ晴人の身体には症状が見当たらない。
ただ一つだけ気になることは顔にできた切り傷だけだ。
おじさんは18階層にある大きな街へすぐに行くことを勧めてきた。
そこには大きな病院があるらしく薬の数も豊富らしい。
ロゼッタは晴人を背負いながら18階層へと進み始める。
少女は泥棒の事を拒否し薬剤師と言ってきた。
彼女はソロで活動している薬剤師であり、数日前まではギルドに入っており突然裏切られて切り捨てられた少女なのだ。
お金が無くて生活ができなく、薬を奪ったりして他のハンター達に売りお金を稼いでいたとのこと。
薬剤師と名乗る少女は解毒薬を晴人の頬に塗り始めた。
10階層で戦ったボスの壷には毒があり、割れた時にできた切り傷が身体に影響したらしい。
少女は少し泣いていた。
嬉しかったのだ。
ソロハンターに薬を売った時にギルドを作ろうと誘うも断れる一方。
下層のハンター達は報酬を分け与えると取り分が少なくなると考える人が多くて、
なかなかギルドの成立が難しい。
そんな中、誘われて嬉し泣きをした。
泣いた顔をロゼッタに見られないように背中を見せたままにする──。
ロゼッタは優しく言葉を放つ──。
正直、少女は嬉しかった。
女の子にも関わらず喋り方が男の子っぽい少女。
こうして3人は新たなる階層へと進む──。