第5話

文字数 470文字

 2日後には大量の段ボール箱が届き、その山は研究所の8割を占め、まるで倉庫のようになった。このままではとても研究どころではないだろうが、意外なことに神保は気にしていないらしく、むしろ顔がほころんでいる。それほどJF04号に自信があるらしく、「もし完売した暁には、第二研究所を立てなくてはな」などとのたまっている。取らぬ狸の皮算用とはこの事だと、重い溜息を吐いた。

 古峰の努力によりJF04号は思いのほか売れた。
 もちろん定価の30万では見向きもされず、値下げを繰り返し、最終的には19,800円までになった。さらに人気アイドルグループ『にじいろ57(フィフティセブン)』の握手券やプロ野球の観戦チケット。さらに五千円分のQUOカードや、ビールチケットなどをセットにして、ようやく完売することが出来たのだ。
 もちろん大幅な赤字となり、神保の機嫌はすこぶる悪かったが、それでも在庫が片付いたことで、ダンボールに埋もれていた研究所はすっかり元通りになった。
 そのころ神保は、またなにか研究を始めていたが、当然のごとく古峰には関心が微塵もなかった。

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