第6話
文字数 1,127文字
十か月後。
再び呼び出された古峰は、腰が抜けそうになった。04号に続く新型ロボットの完成ということだったので、また玩具みたいなものを想像していただけに、驚愕ぶりもひとしおである。
「ふふふ。さすがのきみも驚いたようだな。無理もない。これぞ絶対究極完全無欠の万能ロボットなのだからな」
目の前にはフリフリのドレスを着たアイドル顔負けの可憐な女性が立っていた。これが作り物であることは承知していたが、肌の質感といい、目の透明感といい、人間そのもので、背中から配電用のコードが伸びていなければ、ロボットであることが到底信じられないくらいだった。デパートにあるような、無骨なマネキンどころではない。
だが、ロボットというからには動いてナンボ。これでもし、何の違和感もなく自然に歩いたり喋ったりでもしたら……いや、そんなはずはない。博士の事だから、そんなうまいこといくはずがないと思った矢先、神保の野太い声が耳に入った。
「きみの考えていることはよく判っているつもりだ。本当にこれが動くのか不安なんだろう? 安心したまえ。さっきも言った通り、これぞ絶対究極完全無欠のロボット、JF05号だ!」
だから、その名前は何とかならないのだろうかと、顔を伏せずにはいられない。すると05号が突然瞬きをし始め、にっこりとした優しい笑顔になると、今度は滑らかな声を発した。
『初めまして。私はJF05号よ。でも、これは仮の名前だから、私にふさわしい、新しい名前を付けてね』
05号は軽くステップを踏みながら自然にウインクをしてみせた。ロボットと判っているにもかかわらず、思わず顔が熱くなる。まるで、好きなアイドルを前にしたときのようなときめきを感じた。
「これには私が開発した高性能のAIが組み込まれている。さあ、きみの好きな名前を付けてあげなさい」
しばらく悩んだ挙句「じゃあ、エリカちゃんで」と、05号に向かって言った。
『ありがとう。“じゃあ、エリカちゃんで”なんて素敵な名前をつけてくれて、とっても嬉しいわ』
きっ、と神保を睨みつける。彼は慌てて言い訳をする。
「人間でいえばまだ生まれたてのゼロ歳といったところだ。完成したばかりなので、おいおい常識的な事を覚えるはずだから、きみがきっちりと教育してあげなさい。それとも他の者に任せようか?」
古峰は一歩前に出ると、ポンと胸を叩いた。
「いえ、博士の第一助手として、私が責任を持って預からせていただきます。お任せください」
恋人のいない古峰にとって、たとえロボットといえど、こんな可愛い女子と一緒に過ごせるなんて夢のようだった。しかも、自分の思い通りに育てることが出来る。古峰は初めて神保を尊敬のまなざしで見つめたのだった……。
再び呼び出された古峰は、腰が抜けそうになった。04号に続く新型ロボットの完成ということだったので、また玩具みたいなものを想像していただけに、驚愕ぶりもひとしおである。
「ふふふ。さすがのきみも驚いたようだな。無理もない。これぞ絶対究極完全無欠の万能ロボットなのだからな」
目の前にはフリフリのドレスを着たアイドル顔負けの可憐な女性が立っていた。これが作り物であることは承知していたが、肌の質感といい、目の透明感といい、人間そのもので、背中から配電用のコードが伸びていなければ、ロボットであることが到底信じられないくらいだった。デパートにあるような、無骨なマネキンどころではない。
だが、ロボットというからには動いてナンボ。これでもし、何の違和感もなく自然に歩いたり喋ったりでもしたら……いや、そんなはずはない。博士の事だから、そんなうまいこといくはずがないと思った矢先、神保の野太い声が耳に入った。
「きみの考えていることはよく判っているつもりだ。本当にこれが動くのか不安なんだろう? 安心したまえ。さっきも言った通り、これぞ絶対究極完全無欠のロボット、JF05号だ!」
だから、その名前は何とかならないのだろうかと、顔を伏せずにはいられない。すると05号が突然瞬きをし始め、にっこりとした優しい笑顔になると、今度は滑らかな声を発した。
『初めまして。私はJF05号よ。でも、これは仮の名前だから、私にふさわしい、新しい名前を付けてね』
05号は軽くステップを踏みながら自然にウインクをしてみせた。ロボットと判っているにもかかわらず、思わず顔が熱くなる。まるで、好きなアイドルを前にしたときのようなときめきを感じた。
「これには私が開発した高性能のAIが組み込まれている。さあ、きみの好きな名前を付けてあげなさい」
しばらく悩んだ挙句「じゃあ、エリカちゃんで」と、05号に向かって言った。
『ありがとう。“じゃあ、エリカちゃんで”なんて素敵な名前をつけてくれて、とっても嬉しいわ』
きっ、と神保を睨みつける。彼は慌てて言い訳をする。
「人間でいえばまだ生まれたてのゼロ歳といったところだ。完成したばかりなので、おいおい常識的な事を覚えるはずだから、きみがきっちりと教育してあげなさい。それとも他の者に任せようか?」
古峰は一歩前に出ると、ポンと胸を叩いた。
「いえ、博士の第一助手として、私が責任を持って預からせていただきます。お任せください」
恋人のいない古峰にとって、たとえロボットといえど、こんな可愛い女子と一緒に過ごせるなんて夢のようだった。しかも、自分の思い通りに育てることが出来る。古峰は初めて神保を尊敬のまなざしで見つめたのだった……。