第6話

文字数 592文字

 次の日から、しのぶに相澤は優しくなり、頻繁なボディタッチが増えた。恋人同士のようにいつも一緒だった。

「しのぶ、いつの間に先手を打ったの? 負けたわ」
 明日香は、早々に敗北宣言をした。

「そんなんじゃないよ」
 しのぶは、二人の仲を誤解されるのが嬉しくもあり、悲しくもあった。

 仕事が終わって相澤としのぶは、部屋で二人きりになった。

「相澤くん、どうして、私をかまうの?」
「和也がね、君のことを好きなんだ。諦めきれないみたいで。
 君に悲しんでほしくないから、和也に諦めさせるために、僕が恋人のように動いてる。嫌ならやめるよ」

 相澤が今にも泣き出しそうな顔をする。

「ち、違うの。嫌じゃない。むしろ……うれしい。ありがとう、これからもよろしく」

「しのぶって名前は本名なの?」

 相澤の質問にうなずくと、相澤は「よかったね」と微笑んだ。
 しのぶの顔は曇った。ボーイッシュなしのぶはこの名前のせいで、たびたび男の子に間違えられた。

「よかったって……」
 言葉を濁らせたしのぶは、一瞬遅れて目を見開いた。そういうことかと顔を伏せた。

「それにね、なんだか、君のことが好きになってきたんだ」
 相澤の好きは、しのぶのことを男として好きということだった。

 しのぶは本当のことをいつ話せばいいのかわからないでいた。

 しのぶは、相澤との距離が縮まってよく笑うようになった。相澤もまた、しのぶと一緒にいて笑顔が増えた。


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登場人物紹介

相澤 陸

 爽やかイケメン。女の子に興味がなく、安部和也のことが気になっている。

山田しのぶ

少し声が低く、胸もなかったため昔はよく男の子に間違えられた。

相澤陸のことが気になっている。

安部和也

細マッチョで大阪出身。関西弁が抜けていない。山田しのぶのことが気になっている。

新庄明日香

ハキハキと自分の考えを言える美人さん。相澤陸のことがスキ。

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