第5話

文字数 477文字

 その夜、相澤陸からしのぶにメッセージが入った。

「ちょっとびっくりした。僕も君と似た仲間だから、安心してね。今日、僕は失恋したんだ」

 相澤陸は、安部和也のことがやはり好きだったんだ……しのぶは天井を見て、ため息をついた。私たちの恋は実らないのだろう。

「君が仲間だとは思わなかった。勝手に仲間なんて言ってごめんね。僕は男だけど、男の人が好きで、女の人には興味がないんだ。
 君は、女の姿をしているけど、男だったんだね。便座が上げてあって、初めて気づいた」

 ちょっと待って、私、女だし、いや、ちょっと待って……。相澤くんは勘違いして自分のことをカミングアウトしたのに、頭ごなしに否定するのは、相澤くんを傷つけることになる。

 そんなことを考えてしのぶは奥歯を噛み締めた。

「君は、パートナーは、男がいいの? 女がいいの? 男がいいとして、和也のことをどう思う?」

 返事を躊躇していたら、また、メッセージが届く。

「パートナーは、男がいい。安部くんは苦手」
 しのぶは、震える手でそう書いた。

「わかった。和也のことは任せて」
 そのまま、プツリとメッセージは来なくなった。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

相澤 陸

 爽やかイケメン。女の子に興味がなく、安部和也のことが気になっている。

山田しのぶ

少し声が低く、胸もなかったため昔はよく男の子に間違えられた。

相澤陸のことが気になっている。

安部和也

細マッチョで大阪出身。関西弁が抜けていない。山田しのぶのことが気になっている。

新庄明日香

ハキハキと自分の考えを言える美人さん。相澤陸のことがスキ。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み