第3話
文字数 741文字
相澤陸と新庄明日香は、実家から通勤。安部和也は妹とマンションに住んでいると言う。山田しのぶだけが一人暮らしだった。
居酒屋での話し合いは、お酒も入っていることから白熱した。建物はI型ではなく、Z型にして、入り口近くの横棒のところ先に子供スペースをつけて、靴を脱いでくつろげて、紙芝居など声を出してもいいようなスペースを作り、入り口から遠い横棒の先には、各種の専門的な本を配置することに決まった。
相澤陸の意見にいちいち賛同する新庄明日香が、陸にしなだれかかる。
明日香は自分のこと、恥ずかしくないのかな、あんなに、積極的に振る舞って、ふられたら、プライドに傷がつかないのだろうか、今後の振る舞いに困らないのだろうかなどと、山田しのぶは、いらぬ心配をしていた。
一方で、気になったのは、相澤陸の視線である。常に優しそうな表情で、安部和也を見ている。安部和也が冗談を言えば過剰なまでに笑い、安部和也が落ち込むと、過剰なまでに心配している。
相澤陸は、安部和也のことが好きなのでは? とそう思っていたしのぶだった。
山田しのぶは、途中、トイレへと立った。みんなのところに帰ろうとした時、男子トイレから聞き慣れた声がした。
安部和也の声だった。
「俺さ、しのぶのことが好きなんだ。今日はなんとしても、告白したいと思っている」
口から心臓が出そうだった。
「そ、そうなんだ。うまくいくといいな」
そう答えた相澤陸の声は、感情を含まないフラットなセリフだった。
しのぶはいたたまれず、明日香の元に帰った。すぐに男二人が帰ってきたので、さっきの話はしのぶの心のうちへと葬り去られた。
「私、用事を思い出したから帰るね」
しのぶは、私は酔ってしまいましたというような目配せをして、万札を置いて帰った。
居酒屋での話し合いは、お酒も入っていることから白熱した。建物はI型ではなく、Z型にして、入り口近くの横棒のところ先に子供スペースをつけて、靴を脱いでくつろげて、紙芝居など声を出してもいいようなスペースを作り、入り口から遠い横棒の先には、各種の専門的な本を配置することに決まった。
相澤陸の意見にいちいち賛同する新庄明日香が、陸にしなだれかかる。
明日香は自分のこと、恥ずかしくないのかな、あんなに、積極的に振る舞って、ふられたら、プライドに傷がつかないのだろうか、今後の振る舞いに困らないのだろうかなどと、山田しのぶは、いらぬ心配をしていた。
一方で、気になったのは、相澤陸の視線である。常に優しそうな表情で、安部和也を見ている。安部和也が冗談を言えば過剰なまでに笑い、安部和也が落ち込むと、過剰なまでに心配している。
相澤陸は、安部和也のことが好きなのでは? とそう思っていたしのぶだった。
山田しのぶは、途中、トイレへと立った。みんなのところに帰ろうとした時、男子トイレから聞き慣れた声がした。
安部和也の声だった。
「俺さ、しのぶのことが好きなんだ。今日はなんとしても、告白したいと思っている」
口から心臓が出そうだった。
「そ、そうなんだ。うまくいくといいな」
そう答えた相澤陸の声は、感情を含まないフラットなセリフだった。
しのぶはいたたまれず、明日香の元に帰った。すぐに男二人が帰ってきたので、さっきの話はしのぶの心のうちへと葬り去られた。
「私、用事を思い出したから帰るね」
しのぶは、私は酔ってしまいましたというような目配せをして、万札を置いて帰った。