2 部長は人知れず反省する
文字数 662文字
疋嶋丸はカフェにいた。
カフェといっても、積年の煙草の匂いが染みついた喫茶店と呼ぶ方が相応しいような、テーブル席が2つと、あとはカウンターだけの小さな店に一人で来ていた。
少し言い過ぎただろうか…。いや確実に言い過ぎた。
何なら、次回から注意してね、の一言で済んだかもしれない。や、でもそれだと逆に冷たい印象にならないだろうか…。ちゃんと部下の事を考えていますよ、成長を見守っていますよ、というような上司の期待、というか信頼というか、愛情みたいなものを伝えたいからこそ時間をかけて叱るのであって…。いやでも限度はある、40分くらいずっと捲し立ててた気がする…。
「はい、お待たせでしたぁ。」
ミルクティとサンドイッチがテーブルに置かれる。
注意する工程を細分化し過ぎたかもしれない。ミスがあった部分だけを抜き出しポイントを絞って指摘するべきだったかもしれない…。少なくとも叱る時間の短縮にはなったはずだ。
「冷めないうちに。」
カウンターから店長が声をかけてきた。いつまでたっても運ばれた皿に手を付けない疋嶋丸を心配したのだろう。
あ、ごめんなさい、と一言軽く詫びティーカップに手を伸ばした。
最後の一言が良くなかった。
――あなたに頼んだ私のミスね。
誰か一人に全ての責任があるのではないのだから、あまり気に病まないでほしい、と彼を思いやって言ったつもりだが、完全に言葉選びが破綻していた…。
本人にとってみれば、あなたには任せられない、と直接告げられたも同じであろう。
ミルクティを一口飲む。どれだけ考え込んでいたんだろう。だいぶぬるくなっていた。
カフェといっても、積年の煙草の匂いが染みついた喫茶店と呼ぶ方が相応しいような、テーブル席が2つと、あとはカウンターだけの小さな店に一人で来ていた。
少し言い過ぎただろうか…。いや確実に言い過ぎた。
何なら、次回から注意してね、の一言で済んだかもしれない。や、でもそれだと逆に冷たい印象にならないだろうか…。ちゃんと部下の事を考えていますよ、成長を見守っていますよ、というような上司の期待、というか信頼というか、愛情みたいなものを伝えたいからこそ時間をかけて叱るのであって…。いやでも限度はある、40分くらいずっと捲し立ててた気がする…。
「はい、お待たせでしたぁ。」
ミルクティとサンドイッチがテーブルに置かれる。
注意する工程を細分化し過ぎたかもしれない。ミスがあった部分だけを抜き出しポイントを絞って指摘するべきだったかもしれない…。少なくとも叱る時間の短縮にはなったはずだ。
「冷めないうちに。」
カウンターから店長が声をかけてきた。いつまでたっても運ばれた皿に手を付けない疋嶋丸を心配したのだろう。
あ、ごめんなさい、と一言軽く詫びティーカップに手を伸ばした。
最後の一言が良くなかった。
――あなたに頼んだ私のミスね。
誰か一人に全ての責任があるのではないのだから、あまり気に病まないでほしい、と彼を思いやって言ったつもりだが、完全に言葉選びが破綻していた…。
本人にとってみれば、あなたには任せられない、と直接告げられたも同じであろう。
ミルクティを一口飲む。どれだけ考え込んでいたんだろう。だいぶぬるくなっていた。