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文字数 673文字

 俺達は、そこの側にある大きめの小屋に入れられた。そして選別だ。
 白衣を着て、マスクをした男女達が。まるで流れ作業の様に、俺達を選別してゆく。
逃げ出そうと飛ぶ奴も沢山いたが、小屋からは出られない。
直ぐに捕まり網の袋に入れられる。

 しかし今度は少ない数しか入れない。
どうやら死んでは困る様だ。生きの良いのを、どんどん袋に入れては口を縛っていた。
俺は生きの良いのに選ばれた。
最早、気分は死にそうだったが。
親が丈夫な体をくれたので、何とか元気だけはあった。他の者、選ばれなかった者は、言うに耐えない扱いを受けていた。

 人間が極悪非道なのは、転生を繰り返して、知ってはいたが。この扱いは無いだろう。
一寸の虫にも五分の魂と言ったのは、お前らだろう。まったく、コイツラばかりは。
 だが俺は、まだ逃げ出すチャンスはあると、そう思っていた。
生き残る!俺は何度も、こんな危険を乗り越えてきた。この程度では諦めないぜ!
チャンスまでは体力の温存だ!
そう決めていた。

 そして俺達は、大事にされながら。
遺跡の地下へと運ばれていった。
ガサゴソ賑やかな音が、静寂した遺跡の石の壁に響いた。それと運び込む無言の男、女達の足音だけが。地下の広間に到着すると、一人の男がこう言った。

「揃いました博士!千匹の黄金虫です」

遺跡の前に佇む博士と呼ばれた男は振り返り、

「よし!」

と言うと、男女達を整列させてこう言った。
俺達は何が起こるのか、緊張しながら聞いた。

「見たまえ。この黄金虫のエンブレムを。
この壁画の象形文字にある。この黄金虫の口に千匹の生きた黄金虫を入れると、大きな宝が蘇ると!」
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