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文字数 678文字

 千匹?!そんなに居るのか?
まあ去年まで居た、日本の様な水と木が豊富にある天国なら、百万匹でも居るだろうが。
この砂漠の多い場所で、千匹も殺されたら殆ど残らないのじゃないのか?
 俺は捕まった自分の心配よりも、種族の存続を心配した。まったく、お人好しと言うか、
お虫良しな男だ。

 俺は去年捕まって、ピンで止められていた
真っ赤な彼女を思い出した。
あいつも、こんな気分だったんだな。
もうすぐそっちへ行きそうだぜ。
 待てよ、死んでも転生するのかな?
前の記憶があまり無いが、殺された記憶は無いし、生まれた記憶は有るという事は。
 死ねば終わりなんだな。

 つまり、天寿を全うしないと、転生は無いと言う事か。俺は今更ながらも、その絡繰に気が付いた。面倒な話だぜ。
まあ、だから必死で子供を作って、次に繋げるんだがな。
 俺達は、ガラガラと音を立てて、捕虫網の袋の中へと入れられた。
ビニールでなくて良かったぜ。

 こんなに居たら窒息死だ。
まるで芋の子を洗うが如しだった。
中には恐怖でフンを漏らす奴も居た。
(先輩臭いっすよ)
俺は何だか判らない事態に唯、茫然としていた。それから数時間。中には圧死する者も現れて、俺達は上へ上へともがいて、ポジション取りをした。

 そして、かなりの袋に仲間達が集められ。
既に二千や三千匹は居ようかと言う、トラックの荷台から、俺は綺麗なお月さんを見ていた。
(これが、この世の見納めか)
そんな事を思って、連れて行かれた場所は、
研究所とか言う、害虫駆除の専門機関かと思えば。
 何と!遺跡だった。
発掘が行われている様だが人の気配は少ない。
大した発見でも無いのだろう。
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