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文字数 671文字

 そんな風に思っていたのだが。
翌年見事!黄金色に生まれ変わって、ゾッとした。何故か俺はエジプトに転生していた。
砂漠の多い、餌の少ないこの場所は。とうの昔に俺達は撤収した筈なのだが。
まあ何匹かは、ここで生まれるらしいが。
まさか俺とはな。
 俺は、ちょっとした神様のイタズラに、不安みたいなものを感じてしまった。
こりゃ、ここで最後かもなそんな気分だった。

 流石、コガネムシの最上級、黄金色になると勘まで神憑りだ。その俺の嫌な予感と言うやつは、別な意味で当たっちまった。
 俺は最初、匂いに誘われて果実の林へと向かった。元々、その近くで生まれたのだから、
大した苦労は無かったがな。
そこで親子共々、楽しく暮らしていた。
親父とお袋は、やはり転生を繰り返して、
かなりの老齢だった。まあ魂の話だがな。

 そんなある日、俺は仲間達の悲鳴で目が覚めた。真夜中だってぇ〜のに、蜂の巣を突いた様な騒ぎだ。
ブーン!ブーン!と激しい羽の音が、辺りを騒がしくしていた。
チクショー、人間共の害虫駆除ってやつかい?
まったく、何の悪さもしてない俺達を、勝手に毒殺しようなんてのは、ひでぇ話さ。
 俺もようやく成虫に成ったところだ。
これから恋をして、又もや転生を繰り返そうかって時に。死んじまっちゃ〜、元も子もない。

 そんなんで俺は逃げた。逃げに、逃げた。
つもりだったが意図も容易く捕まっちまった。
しかも奴ら、殺そうとはしやがらない。
 俺は捕まえた人間共の会話を聞いた。

「後、何匹だ?」

「知るか!千匹と言ってたが。博士が気に入らないものは捨てるんだ。何匹でも構わんよ。
居るだけ捕まえろ」
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