前書き

　小説　ラインの黄金

　「小説　ラインの黄金」は、リヒャルト・ワーグナー作曲、楽劇（オペラ）「ニーベルングの指環」の第一作「ラインの黄金」を抄訳し、小説に仕立てたものです。
　ワーグナーが書いたドイツ語のオペラの歌詞をそのまま用い、ト書きに相当する地の文で原作とは異なる情景や心理描写をしました。そのため、創作が三割、引用が七割になりました。

　「ニーベルングの指環」はライン河の黄金から作った指環を巡る話です。神々、巨人族、ニーベルング族が世界を支配できる指環を争う物語です。「ニーベルングの指環」は北欧神話、ゲルマン神話などに基づいていますので、ここでいう神々はキリスト教の『GOD』ではありません。
　このオペラは「ラインの黄金」「ヴァルキューレ」「ジークフリート」「神々の黄昏」の四つから成り立っています。オペラは非常に長く、四作合計で十五時間ほどかかります。「ラインの黄金」はその導入部にあたります。

〇　歌詞の訳し方
　「ラインの黄金」の歌詞はドイツ語で書かれています。ドイツ語から日本語に翻訳する際はDVD、CDの歌詞カードなどを参照し、部分的にカットしたり、長すぎる歌詞はまとめるなど工夫しました。
　この小説では、下記のように人物名の後に歌詞を書く体裁を使いました。
WOGLINDE　　「 Mit uns will er spielen？」
ヴォークリンデ 「一緒に遊びたいの？」