第1話

文字数 210文字

 

好き-ーーと、言われた。



 目の前の少年は、しとしとと降り続ける穏やかな雨の音に、かき消されそうな小さな声で、だけどはっきりと、口にした。
雨よけにはいつも遊んでいる公園の直ぐとなり、彼の家の軒先しかなくて、親が仕事に出ているこの時間、ここには彼しかいない。それに、今遊んでいたのは私だけだ。つまり、ここには彼と自分のふたりしかいなくって、今言われた言葉は、私へと向けられたものでしかない。逃げ道がなかった。
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