プロローグ
文字数 1,941文字
年齢は35歳、独身だ。
職歴は魔王退治を20年、現在は「KAMASEYA!」という
人材派遣会社に世話になっている。
前回の仕事で一部上場の「株式会社HERO」に派遣され、
レッドドラゴン討伐のパーティーに参加した。
そこにいい男がいたのだ…。
顔は阿部寛に似ていて、性格も体つきも申し分ない。
だが、同僚と入籍してしまった…。
ふっ、私もいい大人だ。
嫉妬などと見苦しいことは……。
ぬおおおおおおおおお!!!
おっとり巨乳(花咲)が
うらやましすぎるぅぅ!!!
これもすべて魔王のせいだ!!
貴様は私のノミでもとっておけ
バカやろぉぉぉぉ!!
※阿部寛が好きすぎる三言さんの妄言です。
ふぅ、もう少しで路駐している車を投げとばすところだった。
え? 車を投げとばすことができるのかって?
ばかもの! 私をダレだと思っている!
魔王をたおす魔法剣士が
車を持ちあげられないでどうする!
モンスターはもっと重いし、
私の二本の剣は月の重力がのしかかり、
1本の重さは車1台に相当する。
もちろん、そのためには過酷なトレーニングが必要だ。
前回の仕事で大けがをして入院、自宅療養。
そのあと地獄のようなトレーニングをおこない、
コンディションを戻した。
だが失恋のショックもあって、やりすぎてしまった…。
おかげで、前よりも筋肉が……
車を弁償して、再び生活困窮におちいっては
元も小森(子)もいない…。
わたしは唇をグッと噛みながら
「KAMASEYA!」の1階の扉を開けた。
次の仕事が決まったとのことで、社長に呼ばれたのだ。
2階にあがり、いつものように社長室の扉をバーンと
あけてやった。
次の仕事に入る前に、敬語の研修をフミさんから受けて下さい。
あと次の仕事は月詠さんのほかに、もう1人うちの社員を派遣します。月詠さんの上司になりますので、必ず敬語を使ってください。なぁなぁで話すと「この会社の教育はどうなっているのか?」とお得意さまに思われますので。
社長室を追いだした。
別室に入った私にオカメが資料を投げつける。
こ、こいつ……!!
オ、オカメインコに敬語を習うだとっ!?
く、屈辱っっ!!!!
ぬおおおおおおおお!!
敬語の研修がはじまるっっ(号泣)