プロローグ
文字数 970文字
私の名は月詠 三言（つくよみ みこと）、
年齢は３５歳、独身だ。
職歴は魔王退治を２０年、現在は「KAMASEYA!」という
人材派遣会社に世話になっている。
え？ ３５歳で魔王退治？ 結婚しないのかって？
このバカチンがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！
魔王を倒せば「地位」と「名誉」そして国家予算ほどの
「財宝」が手に入る！
人として生まれたからには年齢に関係なく、
夢を追うに決まっているだろう！
（着信音♪）「カンカンカンカン バンサンカン ヤキニクヤイテモイエヤクナ♪」
むっ、母親からだ。
し、失礼…
「もしもし……仕事？ ま、魔王退治やけど……」
「あんたまだ魔王退治やってんの？ いつまでも夢おうてアホちゃうか？ いいかげん結婚して孫の顔みせてーな！」
うっさいなぁ！ 魔王を退治したら、楽させたるってゆうてるやん！
「アホ！ 年金あるから大丈夫って何回ゆうたらわかんねん！ あんたが夢を叶えられへんから意地になってるだけやろ！」
なっ！？ はぁ！ 私はお母ちゃんとお父ちゃんのために！
夢を叶えられへん理由を私らに押しつけんといてくれる？ まぁええわ。彼氏ぐらいはおるんやろうな？
い、いるわけないやろ！ 魔王退治に邪魔やし！
お見合いや……お見合いせんかい、このバカ娘！！設定したるから好きなタイプ教えんかい！！
いらんお世話や！ 私の人生すきに生きてナニが悪いねん！
女性の３０代後半は結婚の確率１０％以下やで！ ええから教えとき！
私らのためゆうなら「孫の顔を見せる」のが一番うれしいねんで！
（ぐ、うぐ、うごごごごご○△☓）……阿部 寛……。
よっしゃ、また連絡するさかいな。元気でやりや！（電話がきれて…プープープー）
………………
ば、バカヤロおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお！
（スマホを地面に叩きつけようとしてやめる←高いので）
わたしだって、彼氏がほしいわい！
アンナことや、こんなコトがしたいわい！
３５年間、彼氏がいたことがないから、
ドラマを見て、妄想するしかないんだぞ！
ドラマみたいなステキな出会いが現実でもおきますように…。
おきたことがねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ！！！！
そんなとき、またスマホが鳴った。
……社長からだ。
「月詠さん、おはようございます。次の派遣先が決まりましたので事務所の方におこしください」
……承知した。
今日も夢に向かって、わたしは働く。
