第4話 黄金の街
文字数 1,190文字
黄金の街
「その、黄金の街というのはどこにあるのですか?」
朝食を終え、ホテルのコンシェルジュに黄金の街について聴いた漢は色めきたった。
実は、漢はもう一文無しだったのだ。
「西の方に行けば、すぐですよ。あなたなら、きっと沢山稼げますよ…それに綺麗な娘も居るだろうし」
コンシェルジュの若い女は、雌臭を漂わせながら、漢のココロを見透かすように言った。
「はい、お水。これはサービスです。日中は、四十度位になるから、早目にたった方がいいですよ」
女は、ペットボトルの水を差し出した。
「今、何時ですか?」
漢には、時計が無かった。質に入れてしまったのだ。
「朝の八時ですよ」
女は、ミステリアスな微笑みを浮かべた。
「よし、もう一文無しだ。このままではジリ貧だ。西に向かおう」
漢は、頭陀袋を担ぐと西へ西へと歩き出してホテルを後にした。
辺りは、一面の砂漠である。いくら歩いても、砂また砂である。
漢には、携帯がない。なので、GPSがきかない。自分の影を砂に写して、今は朝なので多分は影の映る方が西だとどんぶり勘定で歩いているだけである。
(ああ、喉が渇いた。腹も減ってきたぞー)
あれから、二、三時間は歩いただろうか。漢は、コンシェルジュの女から貰ったペットボトルの水を飲み干し、ただ一人砂漠の荒野を歩き続けていた。
額の汗が、外気温でみるみる乾燥してゆく。
(あの女、街にはすぐに着くと言っていたのに…そ、そうか。あの女、俺が車かバイクで行くものと勘違いしていたな。馬鹿な、気が利かない女だ、あれは)
漢は、後悔したが後の祭りであった。
漢は、灼熱の砂漠の中で意識が薄れかかった。
(もう、ダメかもしれない)
漢が人生を諦めかけたその時、漢は砂漠に一縷の奇跡を見出した。
砂漠の中に一本の大きなオリーブの大木が茂っており、その涼しげな木陰にはコンコンと水を称えた泉が湧いているのである。
(み、水だ。助かった)
さらに、泉の中では豊満な乳房を惜しげもなく晒したエキゾチックな美女が行水を楽しんでおり、そばのテーブルには山海のご馳走、周囲には青い鳥が羽を休めている。
(お、俺も入りたい。素っ裸になって、混浴し、泉の水を思い切り呑みたい)
漢は、最後の力を振り絞って泉に近づいた。
「は、はあ。ここは、黄金の街ですか?
(街というより、オアシスだな)」
「貴方は、どこからいらしたの?」
そのエキゾチックな美女は、泉から立ち上がると漆黒の陰毛から水を滴らせながら微笑んだ。
「ひ、東の方から。東の宮古から来ました。
どうか。水を恵んでください」
漢は、夢見心地に哀願した。
「まあ。東から。もっと西に歩を進めないと。ここの泉には管理者がいてダメなんですのよ」
女は、これだけ言うと泉とともに忽然と消えた。
(ふっ、蜃気楼か)
漢は、天を仰ぎ、また西に向かって歩き出した。
「その、黄金の街というのはどこにあるのですか?」
朝食を終え、ホテルのコンシェルジュに黄金の街について聴いた漢は色めきたった。
実は、漢はもう一文無しだったのだ。
「西の方に行けば、すぐですよ。あなたなら、きっと沢山稼げますよ…それに綺麗な娘も居るだろうし」
コンシェルジュの若い女は、雌臭を漂わせながら、漢のココロを見透かすように言った。
「はい、お水。これはサービスです。日中は、四十度位になるから、早目にたった方がいいですよ」
女は、ペットボトルの水を差し出した。
「今、何時ですか?」
漢には、時計が無かった。質に入れてしまったのだ。
「朝の八時ですよ」
女は、ミステリアスな微笑みを浮かべた。
「よし、もう一文無しだ。このままではジリ貧だ。西に向かおう」
漢は、頭陀袋を担ぐと西へ西へと歩き出してホテルを後にした。
辺りは、一面の砂漠である。いくら歩いても、砂また砂である。
漢には、携帯がない。なので、GPSがきかない。自分の影を砂に写して、今は朝なので多分は影の映る方が西だとどんぶり勘定で歩いているだけである。
(ああ、喉が渇いた。腹も減ってきたぞー)
あれから、二、三時間は歩いただろうか。漢は、コンシェルジュの女から貰ったペットボトルの水を飲み干し、ただ一人砂漠の荒野を歩き続けていた。
額の汗が、外気温でみるみる乾燥してゆく。
(あの女、街にはすぐに着くと言っていたのに…そ、そうか。あの女、俺が車かバイクで行くものと勘違いしていたな。馬鹿な、気が利かない女だ、あれは)
漢は、後悔したが後の祭りであった。
漢は、灼熱の砂漠の中で意識が薄れかかった。
(もう、ダメかもしれない)
漢が人生を諦めかけたその時、漢は砂漠に一縷の奇跡を見出した。
砂漠の中に一本の大きなオリーブの大木が茂っており、その涼しげな木陰にはコンコンと水を称えた泉が湧いているのである。
(み、水だ。助かった)
さらに、泉の中では豊満な乳房を惜しげもなく晒したエキゾチックな美女が行水を楽しんでおり、そばのテーブルには山海のご馳走、周囲には青い鳥が羽を休めている。
(お、俺も入りたい。素っ裸になって、混浴し、泉の水を思い切り呑みたい)
漢は、最後の力を振り絞って泉に近づいた。
「は、はあ。ここは、黄金の街ですか?
(街というより、オアシスだな)」
「貴方は、どこからいらしたの?」
そのエキゾチックな美女は、泉から立ち上がると漆黒の陰毛から水を滴らせながら微笑んだ。
「ひ、東の方から。東の宮古から来ました。
どうか。水を恵んでください」
漢は、夢見心地に哀願した。
「まあ。東から。もっと西に歩を進めないと。ここの泉には管理者がいてダメなんですのよ」
女は、これだけ言うと泉とともに忽然と消えた。
(ふっ、蜃気楼か)
漢は、天を仰ぎ、また西に向かって歩き出した。