第8話 源流思想 儒家思想

文字数 576文字

 儒家の祖である孔子の母は宗教的儀礼を通して一族の血縁的な結束を強める仕事を担った人、(じゅ)だったらしい。で、孔子は肉親に対する親愛の情をもとに、周王朝の秩序を理想とする政治思想を説いたんだけど、その言行録は、彼の死後、弟子たちによって『論語』としてまとめられている。

道教による儒家批判

 孔子は社会規範としての礼を重視したんだけど、道家は、こういうのは作為的な道徳だとして儒家を批判した。『老子』には「大道廃(だいどうすた)れて仁義あり」て言葉があるんだけど、これは、昔は道理が行われており、人為的道徳を説く必要はなかったのだが、大いなる(タオ)の働きが顧みられなくなったので、仁や義をことさらに説く必要が生じた、というのがだいたいの意味らしい。

 『論語』には、上の立場の人に服従することや、君子っていう道徳心にすぐれた人間が民衆を支配すべきだって考えがかかれてあるんだけど、これは、政体でいえば君子による寡頭制が理想という主張だと考えられるんじゃないだろうか。
 たとえば、「有子曰(ゆうしいわ)く、()(ひと)()りや孝悌(こうてい)にして、(かみ)(おか)すを(この)(もの)(すく)なし。」って言葉があって、孔子の弟子である有若(ゆうじゃく)が記録したものと考えられてるんだけど、これなんかは、人柄が父母に尽くし、兄など年長者に従順であれば、反逆を好むようなものは少ないって意味だから、上下関係に厳しい道徳観が示された一例っていえるだろうね。
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