ギタンジャリ 64
文字数 332文字
世界的に名の知れたインドの詩人が著した書物に『ギタンジャリ』という詩集がある。宗教色の強い詩集なのだが、この詩集の64番目の詩を読んだとき、考えさせられるところがあった。
インドでは、日本の盂蘭盆 の灯籠流しの起源らしき祭りがあるのだが、詩人はこの華やかな祭りに対して批判的である。64番目の詩では、灯明 と対比されるかたちで、灯りなく暮らす人たちの家を暗示する、真っ暗な私の家が示されている。わたしはランプを貸してほしいと頼むのだが、その願いはことごとく断られ、そうしたランプはむなしく流れに漂い、むなしく空に燃え、むなしく他の灯りに吸い込まれてゆく。
詩人は儀礼や祭りにお金が費やされる一方で、灯りなく過ごす人に対する慈悲を示さない信仰心を疑問に思ったのだろう。
インドでは、日本の
詩人は儀礼や祭りにお金が費やされる一方で、灯りなく過ごす人に対する慈悲を示さない信仰心を疑問に思ったのだろう。