第二章2法家
文字数 1,204文字
音鼓の父は、法家との折衝を担当している。法家の当主は、20歳ほどの女である。
公家や武家は、年長の男が当主になることが多いが、法家では年少の女が当主になる。自然、当主は婿を貰うわけだ。
これには、理由がある。法家は、過去の戦において、宗家に組して敗戦した。そのため、取り潰されてもおかしくない状況であったのだが、公家と武家のみが残ると、それはそれで厄介であった。2家のみでは、いつか均衡が崩れ、激しい戦になり、ついには全てが破滅することになりかねない。法家は、その均衡を保つことを目的に残されたが、それと同時に公家や武家よりも力をつけては困る。
そこで、考案されたのが、年少の女を当主とすることだ。当主が幼い時は、その父が摂政として実務を担当する。つまり、婿としてやって来た父だ。そして、その婿には、公家もしくは武家の者が選ばれるのが、しきたりになっている。
そうすることで、法家を残して均衡を保ちつつ、実際は公家と武家が牛耳る政権が完成する。
そういう意味もあり、法家の婿は重要な政治的地位にある。
法家の当主は、幼い時は父に摂政を譲り、年頃になると子をもうけて引退する。そこため、実際に政治的な影響を与えることが少ないと思われている。
しかし、実際は違うことを音鼓は父を通して知っていた。法家の当主は、かなりしたたかである。初め、婿は出身の家(公家または武家)の為に働こうとする。しかし、時が経つにつれ、純粋に法家の為に働くようになるのだ。自分の家族を守るために。
そこには、法家の当主のキメ細やかな思いやりと愛情の注ぎ方と、愛情の注がれ方が働いていると思われる。洗脳の様なことをした当主もいたそうだが。
政府の中で、最も謎が多く、扱い難いのが法家である。決して力が強いわけではないのだが、決して弱いわけでもない。公家と武家が争った時は、法家が味方した方が勝つ。
そして、法家には鬼の子が多かった。多いといっても、役職がある者ではなく、下働きとして鬼の子が多いのである。
その子達は、ドコから来るのか、音鼓は知らなかった。音鼓の父は、何か事情を知っているだろうが、決して口に出す事はなかった。
あの黒髪の角の生えた少女も、法家の下働きなのだろうか。あの紅の紐は、今も懐に入れて持ち歩いている。紐の感触を確める度に、股間が疼いた。
音鼓が第二皇子に従って、朝廷を歩いているときに父に出会った。父は、家と変わらずに穏やかな表情で、法家の誰か若い男と話していた。(公家、武家、法家はそれぞれ服装が異なるために、一見しただけで所属が分かる)
第二皇子と音鼓を認めると、その若い男は会釈をして去っていった。
父は、第二皇子に深くお辞儀して、音鼓の働きぶりを聞いた。
第二皇子も、父に深くお辞儀して、音鼓はよく働いていると褒めた。父は第二皇子の伯父にあたるのだが、少しよそよそしさを感じた。
終わり
公家や武家は、年長の男が当主になることが多いが、法家では年少の女が当主になる。自然、当主は婿を貰うわけだ。
これには、理由がある。法家は、過去の戦において、宗家に組して敗戦した。そのため、取り潰されてもおかしくない状況であったのだが、公家と武家のみが残ると、それはそれで厄介であった。2家のみでは、いつか均衡が崩れ、激しい戦になり、ついには全てが破滅することになりかねない。法家は、その均衡を保つことを目的に残されたが、それと同時に公家や武家よりも力をつけては困る。
そこで、考案されたのが、年少の女を当主とすることだ。当主が幼い時は、その父が摂政として実務を担当する。つまり、婿としてやって来た父だ。そして、その婿には、公家もしくは武家の者が選ばれるのが、しきたりになっている。
そうすることで、法家を残して均衡を保ちつつ、実際は公家と武家が牛耳る政権が完成する。
そういう意味もあり、法家の婿は重要な政治的地位にある。
法家の当主は、幼い時は父に摂政を譲り、年頃になると子をもうけて引退する。そこため、実際に政治的な影響を与えることが少ないと思われている。
しかし、実際は違うことを音鼓は父を通して知っていた。法家の当主は、かなりしたたかである。初め、婿は出身の家(公家または武家)の為に働こうとする。しかし、時が経つにつれ、純粋に法家の為に働くようになるのだ。自分の家族を守るために。
そこには、法家の当主のキメ細やかな思いやりと愛情の注ぎ方と、愛情の注がれ方が働いていると思われる。洗脳の様なことをした当主もいたそうだが。
政府の中で、最も謎が多く、扱い難いのが法家である。決して力が強いわけではないのだが、決して弱いわけでもない。公家と武家が争った時は、法家が味方した方が勝つ。
そして、法家には鬼の子が多かった。多いといっても、役職がある者ではなく、下働きとして鬼の子が多いのである。
その子達は、ドコから来るのか、音鼓は知らなかった。音鼓の父は、何か事情を知っているだろうが、決して口に出す事はなかった。
あの黒髪の角の生えた少女も、法家の下働きなのだろうか。あの紅の紐は、今も懐に入れて持ち歩いている。紐の感触を確める度に、股間が疼いた。
音鼓が第二皇子に従って、朝廷を歩いているときに父に出会った。父は、家と変わらずに穏やかな表情で、法家の誰か若い男と話していた。(公家、武家、法家はそれぞれ服装が異なるために、一見しただけで所属が分かる)
第二皇子と音鼓を認めると、その若い男は会釈をして去っていった。
父は、第二皇子に深くお辞儀して、音鼓の働きぶりを聞いた。
第二皇子も、父に深くお辞儀して、音鼓はよく働いていると褒めた。父は第二皇子の伯父にあたるのだが、少しよそよそしさを感じた。
終わり