第8話

文字数 968文字

はるちゃんはまだ、夢の中です。
今度はランドセルを背負って公園を歩いていました。
体がとっても軽いのです。
風が冷たくて気持ちがよくて、スキップしながら公園をぐるぐる回っていました。
ふと空を見ると、いつもの雲がいつもの場所にいません。
雲さんがいない、、、、
楽しかった気持ちが急に悲しくなりました。
雲さんー雲さんー
どこにいったのーでてきてー
もどってきてー かくれんぼしないでー

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ベッドで寝ているはるちゃんの目から、ポロポロと涙がこぼれてきました。
お母さんは急に涙を流している、はるちゃんに
ビックリ。
「はるちゃん、はるちゃん苦しいの?苦しいの?」お母さんも心配で泣きそうです。
その時、はるちゃんの涙の一粒が金色に光りました。そしてお母さんが少し目をそらした隙に、
もうスピードで空に飛んでいったのです。
まるで、それが合図であるかのように、
はるちゃんは、ようやく目を覚ましました。
お母さんも看護師さんもベッドの横で大喜び。
はるちゃんの熱が下がったのです。
汗ばんだ はるちゃんの手には金色に光る小さな粒が握りしめられていました。
その粒がなんなのか、誰にもわかりませんでしたが、はるちゃんにとって、きっと良いものに違いないと小さな袋に入れられお守りとして、はるちゃんの首に下げられました。

はるちゃんの熱が下がった日から、小さな雲は
いなくなりました。
お守りの金の粒を首から下げ、ベッドから小さな雲をずっと探していた はるちゃんでしたが、
2度と会えない事をなぜか感じていました。
雲さん、、、、

その後はるちゃんの体調はどんどん良くなり、
ようやく病院を退院する事が出来ました。
ランドセルを背負って学校にも通っています。
今は、雲ではなく星をよく見るようになりました。
いつも同じ場所にキラキラ光る星が見えるのです。寝る前に、はるちゃんはその星を探すようになりました。なぜか、その星を見ていたいのです。その星を見ていると笑顔になるのです。
はるちゃんは、今夜も窓からその星を眺めていました。

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見てる、見てる、今夜も見てる。

「おい、新人さん、いつも飽きもせず同じ場所を見ているね、楽しいかい」
「はい、楽しいです、こうして星の仲間入りが出来て、またあの子の笑顔に会えて」

小さな雲は小さな星になっていつまでも
その場所で輝いていました。
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